レゴを作ってから「永遠の0」を見てあれこれ考えることに

レゴポストカード長崎

平和祈念像から戦争関連情報が

レゴで長崎版ポストカードを作るため、平和祈念像の写真を検索していたら、戦争関連の情報が出てきました。

ショート動画で、特攻隊の人たちの当時の写真を、AIで動画にしたものや、サザンオールスターズの「蛍」の曲が出てきて、「永遠の0」もありました。

「永遠の0」は百田尚樹の小説(2006年)で、漫画(2010-2012年)、映画(2013年)、テレビドラマ(2015年)になっています。

ストーリーは、司法試験浪人の弟と、フリーライターの姉が、祖母の死後、現在の祖父は、祖母の再婚相手で、自分たちの実の祖父ではないことを知り、実の祖父のことを調べる話です。実の祖父は特攻隊員として戦死していました。生き残っている関係者から話を聞いていくなかで、腑に落ちないことが出てきて、徐々に答えにたどり着く(完全にはたどり着かない)という内容です。

映画、テレビドラマの細かい部分がうろ覚えだったため、Amazon Primeで見ました(全部で8時間ぐらいかかりました。笑)。映画の弟役は三浦春馬で、亡くなったのは特攻隊員より少し上の年齢だなどと思いました。

「永遠の0」は感動的なストーリーですが、登場人物が「特攻は自爆テロと同じ」という発言をし、「それはまったく違う」と、映画では弟が、テレビドラマでは別の登場人物が怒る部分が気になったりしました。

「自爆テロ」と「特攻」

「自爆テロと同じ」と言っている人は、「自爆テロ」も「特攻」も「洗脳された狂信者」の行ないだと否定しています。

特攻は「まったく違う」と言っている人は、特攻隊員の苦悩、悲しみ、恐怖、しかしながら、選択肢のないなかで、自分の家族や国を守るために命を捧げたいと思った、捧げるしかなかった状況を知ってほしいと思っています。

特攻隊員は「洗脳された狂信者」ではありません。

それと同じように、自爆テロも全部とは言えませんが、「洗脳された狂信者」の行ないではなく、同じように自分たちの大切なものを守るために命を捧げるしかない、選択肢のない状況だったケースもあると私は思うのです。

たとえば、イスラエルは、80年近く、パレスチナを弾圧し続けており、イスラエルで自爆テロを起こしたパレスチナ人のニュースでは、婚約者や家族がイスラエルにより殺されているということです。それらの状況を過激派から利用された恐れもあるとニュースには書いてありますが。

私はもちろん「特攻」も「自爆テロ」も否定しています。部下が必ず死ぬような作戦を行なうべきではない。それを決定し、実行する上司(トップ。この人たちが自分の命を犠牲にすることはほとんどない)は許せないと思っています。

とくに、「命がけで戦い戻ってくる」攻撃から「死んで戻って来ない」特攻が善となり、実質的に強制したのは、作戦としてもまずいと思います。生き残った関係者が「敵の船に爆弾を落として戻って来られる熟練者の機体にまで爆弾を括り付けて体当たりをさせるようになっていったので、勝てるはずはなかった」と言っていました。

上の人、トップの作戦(決定)は、昔も今も部下やその家族、それが政治家なら、市民、国民に影響を大きく及ぼします。

追い詰められた状態とプロパガンダ

「永遠の0」に対しては、映画が上映された当時、アメリカ海軍の関連団体から「日本は侵略者なのに、美化するのか」などという批判が来ていました。

けれども、アメリカは、1914年の「オレンジ計画」にもとづいて、自分たちが日本を着々と追い詰めていき、狙い通りに不要な原爆まで落としておいて、相変わらずプロパガンダを行なっているなと感じました(行なっている側はプロパガンダとは思っていなくて、それこそ自分たちが正しいと信じていたりするのですが)。

ABCD包囲網に追い詰められていくなかでの日本の抵抗は、イスラエルの弾圧に対するパレスチナのハマスによる抵抗と重なっても見えます。

アメリカは、パレスチナやイスラム教の国に対して「テロリスト」「テロ国家」というプロパガンダを続け、ハマスをテロ組織と指定していますが、ハマスは選挙で選ばれた第一党、現在の日本でいうと自民党です(ハマスは、途中から選挙は行なわれていませんが)。

イスラエルによるパレスチナの弾圧、そして、虐殺(ジェノサイド)、破壊(ドミサイド)は終わっていませんし、イスラエルに対するアメリカの後ろ盾も強いままです。

そして、日本においても、戦後さまざまなアメリカからの要求、圧力は終わっていませんし、プロパガンダも終わっていません。

勝てば官軍負ければ賊軍

戦争は、他国を自国の思い通りにするため、武力という暴力行為で相手側の意思を屈服させることが目的で、勝つのが正義です。

これまでの世界の歴史では、勝った国の言い分が「勝てば官軍」として正しいとされ、「負ければ賊軍」となり、間違いとなっています。さらに滅びてしまった国は「死人に口なし」となり、存在した片鱗さえ残らないこともあります。

しかし、戦争は勝っても多大なダメージは受けます。

また、ビジネスや市民社会では、この「暴力で相手を屈服させる」以外の方法でうまくいっているし、ライバルを殺したり、家に火をつけたりするのは、重罪です。

国際社会における「力による支配」を、どうやれば市民社会並になくせるのだろうかと思います。

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奇しくも今日(3/10)は「東京大空襲」から80年の日です。

アメリカの陸軍記念日のこの日、東京の下町に爆弾を投下し、この日の数時間だけで100万人が罹災、前後の攻撃で310万人が罹災し、死者は10万人と言われています。

爆弾は、日本家屋用に作り、大規模な実験も行ない、日本の消防隊が火を消せないように開発しています。

生物兵器や化学兵器も開発していましたし、3発目の原爆を東京に落とす計画でしたが、使う前に日本が降伏しました。

東京大空襲の指揮官は「アメリカが負けたら、(国際法違反の市民への攻撃は)戦争犯罪人となっていた」と言っていますが、「勝てば官軍」で、日本はこの指揮官に、後日、あろうことか勲一等旭日大綬章を授与しています。