「パワハラ上司がホワイト上司に」本で思うこと(1)パワハラ防止にはアンガーマネジメントが効く

先日、「不本意ながらパワハラ認定された上司がホワイト上司になる方法」を出版しました。この本を出すにあたって思うことをブログで、数回に分けて書きたいと思います。

アンガーマネジメントとモチベーションマネジメント

この本は、タイトルの「不本意ながらパワハラ認定された上司」に加えて、帯の「私は大丈夫」と思っている上司にも確認と予防的な観点から読んでいただければと思います。
また、上司・部下を問わず、職場のハラスメント対策を考えている方に向けた内容です。

この本には、パワハラ防止法が出来た時代背景や、法律の内容も書いていますが、「人と人との関係」「感情」という観点から、アンガーマネジメントとモチベーションマネジメントのソリューション(解決方法)を提案しています。

人が怒る理由、パワハラに至る心理や、怒りのコントロール法、上手な叱り方などアンガーマネジメントの要素と、上手な叱り方にはモチベーションマネジメントの要素も若干入れています。

パワハラのつもりがなくても、言い方で判断されることも

私は、パワハラ認定された上司の方たちのコンサルティングや研修を行なっていますが、そのなかで見えてきたのは、本にも書いた「パワハラ上司とホワイト上司は紙一重」ということです。ちなみに、この本で言っている「ホワイト上司」は、部下たちから信頼されている、好感度の高い上司です。

「パワハラ上司」も「ホワイト上司」と同じように、部下のため、会社のため、お客様のためにと思っています。しかし、「出来事の捉え方」と「伝え方(対処法)」に違いがあります。
私は会社員時代、他部署の「カリスマ上司」「ホワイト上司」「パワハラ上司」の言動を観察し、部下に接する方法が全然違うなあと思いました。

たとえば、90%達成(10%未達成)の部下に対してはこんな感じです。

  • パワハラ上司 10%の未達成を責める
  • ホワイト上司 90%の達成を評価し、10%の未達成に対して一緒に振り返り、次へのモチベーションにつなげる
  • カリスマ上司 90%の達成を皆で喜び、10%の未達成に対して皆で知恵を出し合いすぐに動く。まもなく100%達成になり、皆で大喜びする

上司が、「上司の仕事は、部下を育てること」「部下のモチベーション(やる気)を高め、行動し、結果を出すことを楽しんでもらうこと」というのを、どれくらい分かっていて、実践しているかというあたりが、パワハラ上司とホワイト上司、カリスマ上司の違いかもしれません。

機嫌のよさはひとつのバロメーター

この本では、「カリスマ上司」までは求めていませんが、カリスマ上司の部署は、本人も部下もみんな機嫌がよいことが多い。うまくいっているから機嫌がよいのではなく、うまくいく前から、また、トラブルが起きても「助さん、格さん、(トラブルを)こらしめてやりなさい」などと言って機嫌がよい。

同様に、取材先(経営者向けビジネス雑誌を編集していた)の急成長している会社の経営者と社員たちも機嫌がよい。絶好調の経営者を取材に行くと、こちらも笑いすぎて、翌日、顔が痛くなっていました。

逆に、この本に出てくる、女性の「パワハラ上司」は、長い間、楽しさや機嫌のよさ、笑うことを忘れていたとおっしゃっていました。上司と部下、部署に、この「機嫌のよさ」「楽しさ」「笑うこと」がどのくらいあるかが、ある意味、信頼関係や心理的安全性のバロメーターになるかもしれません。

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