「暴走」に対して、憤りと無力さを感じるけれども(2)
(「暴走」に対して、憤りと無力さを感じるけれども は、2023/12/9のブログで、このブログは、その続きでもあります)
ガザ戦闘から1年。
日本のテレビ(とくに民放)はイスラエル寄りの気がします。
イスラエル北部の人が、ホテルに避難していて「ホテルは(家に比べて)狭い」などと言っているインタビューを流していたりします。確かにその人にとっては大変なのでしょうが、どうしてもガザの人たちの悲惨な状況と比べてしまいます。
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ガザ
- 死者 41,870人(うち子供11,355人)
- 負傷者 97,166人
- 避難民 約190万人(人口220万人のうち86%)
- 被害
住宅 60%以上
商業建物 80%以上
道路網 68%
農耕地 68%
漁船 70%
がれき 4200万トン以上
イスラエル
- 死者 1,200人以上
- 負傷者 最大5,400人
(Data:OCHA他 朝日新聞より)
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これまで世界中の人が即時停戦を呼びかけていますし、5月に国際司法裁判所からイスラエルに停戦の命令がなされています。国連も何度も停戦を呼びかけていますが、イスラエルは、ガザのみならず、パレスチナ西岸、レバノンまで攻撃しています。
その理由として、イスラエルの新聞ハアレツには、「戦闘が終わると、ネタニヤフ政権が終わるからだ」と書かれています。「ネタニヤフは、汚職の罪で裁判中であり、うやむやにしたい思惑で、人質のことは考えていない」と。
そして、アメリカがイスラエルを支持し、武器支援を続けているため戦闘は終わりません。
アメリカからの武器がなければ、イスラエルは戦えません。
アメリカの政治家は、民主党も共和党も皆、ユダヤ系ロビー団体、AIPACの強い影響下(莫大な献金から容赦ない妨害まで)にあります。
そして、日本は日米合同委員会(日米地位協定)の影響下にあるうえ、国際報道もアメリカ政府寄りでもあります(アメリカの通信社からの情報が多いため)。
そのため、ハマスは、パレスチナのいちおう第一党であり、日本でいうと自民党の立場ですが、IS(イスラム国)のようなテロ組織と同列に思われたりしています。
ヒズボラも、レバノンの議会に議員を出している政党で、過半数の議席を獲得したこともあります(一昨年、過半数割れ)。日本でいうと立憲民主党よりも議員の割合は高いのです。
つまり、ナスララ師(書記長)殺害は、日本でいうと野田佳彦氏もしくは石破茂氏を、近隣のビル何棟も破壊して殺すみたいな、かなり無茶苦茶なことではありますが、その意味合いはほとんど伝わっていません。
いずれにしても、国際法に則って停戦して欲しいものです。イスラエルは、さまざまな国際法を無視し続けていますが、アメリカ寄りの日本はそのことも報道しません。
半年前に見た、パレスチナの人が、がれきの中から、かつて熱心に勉強した国際法の本を発見して、「嘘だ」と言って火をつけている動画が印象的でした。
イスラエルは、さらにイランを攻めようとしていますが、これまで自制していたイランが本気を出すと、イスラエルは無傷では済まされない気がします。
「暴走」は、いつか止まる、止まらざるをえないのでしょうが、あまりにも犠牲が多く、憤りと無力さを感じます。とはいえ、昨年12月に書いたブログのように、一市民の我々は、いろいろな意味で民度を下げず、各人が出来ること、やるべきことをやるしかないのでしょう。