児童人身売買の事実を伝える映画「サウンド・オブ・フリーダム」

サウンド・オブ・フリーダム

児童人身売買はサプリメント市場と同じぐらいの規模

昨日、福岡に行ったときに「サウンド・オブ・フリーダム」を見ました。
これは、児童誘拐、性的虐待の犯罪犠牲者を救い出す、アメリカの連邦捜査官の話で、実在の人物をモデルにしています。

児童誘拐、人身売買、性的虐待の市場規模は、世界で1500億ドル(1ドル150円で計算して22兆5000万円)と、映画のチラシに書かれています。

これと同じ市場規模(世界)の産業は、サプリメント(健康のために飲む、ビタミンなどの錠剤)市場や、機能性素材(撥水性、抗菌性、速乾性、その他の機能をもった素材)市場です。
これに対して、世界のアニメ市場が345億ドル、映画館の市場が679億8000万ドルぐらいなので、児童人身売買はなかなか大きな市場だと言えるでしょう。

児童人身売買のビジネスは、犯罪なので、当然、税金は一切支払いませんし、劣悪な環境、状態で子供は苦しみ、命を落とすことにもなります。

普通の家の親子が騙されて犠牲者になる

海外の貧困な親が子供を売るイメージがあるかもしれませんが、決してそうではありません。

この映画では、芸能関係者を装った女性が「お子さんには才能があるのでオーディションを受けませんか」と親子に声をかけ、パンフレットを見せています。
もし、パンフレットが実在する団体(プロダクション、劇団、その他)のものなら、勝手に使っていても、親は信じてしまうでしょう。

オーディション会場には子供たちがたくさん集められており、「お父さんは部屋に入らないで。7時に迎えに来てください」と言って帰されます。
もし、無理やり部屋に入ったとしても、子供たちにポーズをつけ写真撮影をしているだけなので、怪しまれないはずです。

迎えに行くと、部屋には誰もおらず、父親は騙されたと気づきます。
けれども、おそらく、被害児童の親はすぐに騙されたと気づかず、「みんなどこに行ったのだろう」と思うのではないでしょうか?

いずれにせよ、普通の家の子供たちを騙して集め、輸送船に乗せて海外に連れて行くわけです。小児性愛者を顧客とする世界中の組織などに売ります。

地元の警察に訴えても、うまくいってせいぜい国際犯罪ネットワークの孫請け、ひ孫請けの人が捕まるだけで、子供は帰ってきません。

この映画は、ホンジュラスの子供たちが、コロンビア(犯罪組織がある)へ連れていかれる話で、本来ならアメリカ連邦捜査官の業務範囲外です。
この主人公、そしてもとになっている人も、ある段階からは、捜査官を辞めて、コロンビア政府と共同で、子供たちの救出と、犯罪組織関係者の逮捕を行なっています。

犯罪ネットワーク、顧客の闇は深い

児童人身売買は、国際的犯罪ネットワークによる犯罪で、世界で逮捕者が出ていますが、顧客として各界の有名人の名前が挙がっていることなどから、この犯罪自体が「トンデモ話」「陰謀論」「都市伝説」とされたりしています。

エプスタイン事件、すなわち、アメリカの実業家で、世界中の著名人の知り合いも多い、エプスタイン氏が、児童への性的暴行の容疑で逮捕され、自殺した(ことになっている)事件ですが、エプスタイン氏が所有する島で、人身売買で集められた少女らに、各界の有名人に性的接待をさせていたという件は、明らかになっていません。

また、大物ラッパー、ディディが家宅捜査され、人身売買、性的接待で逮捕されていますが、顧客として名前が挙がっている有名人の犯罪に関しては、これも明らかになっていません。

児童人身売買は、一筋縄ではいかない、闇が深い犯罪でもあります。
映画では、現在、「奴隷」となっている人の数は、奴隷が合法だった時代よりも多く、数百万人が子供だということでした。

日本でもこれまで逮捕者が出ており、内閣府の政府広報オンラインに「『人身取引』は日本でも発生しています」と書いてあります。

日本の2023年の行方不明者は9万人超で、このうち9歳以下が1115人、10歳代が1万7732人となっています(警察庁生活安全局)。

この映画は、まずは児童人身売買という犯罪が世界で行なわれている事実を知ってもらうため、多くの人に見てもらいたいということで、ムビチケで予定枚数まで無料で見られる仕組みも使っています(まだ使えます)。逆に人のチケット代の寄付をすることもできます。

「トンデモ話」「陰謀論」「都市伝説」ではない「事実」を多くの人が知る機会になればいいと私も思います。