ジェノサイドが止まらない、憂うべき現状の自分なりに思う背景

中学生のとき、ひょんなことからイスラエルの歴史を知る

以前書いたように、私が中学生の時、イスラエルから段ボール箱一杯の手紙が届きました。英語の勉強のため、アメリカの雑誌にペンフレンド募集を出していたのが、イスラエルの雑誌に転載され、送ってきたのでした。

そのとき、イスラエルってどこ? と思い、図書館で調べました。そうすると、1948年に誕生した国で、中東問題、パレスチナ問題が起きていることが分かりました。それについて、学校の先生に確認しました。

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【現在のイスラエルの成り立ち】

19世紀後半、オスマン帝国が支配するパレスチナの土地に、ユダヤ人も住んではいたが、主に住んでいたのはアラブ人だった。

イギリスの3枚舌外交で、アラブ人にはオスマン帝国に反乱を起こせば、ユダヤ人にはイギリスに資金を提供すれば、自分たちの国がつくれると信じさせた(フランス、ロシアには共同管理しようと約束していた)。

オスマン帝国は倒れ、パレスチナはイギリスの植民地となった。ユダヤ人の移住者が増え、アラブ人とのあいだで紛争が起きるようになったため、イギリスはこの問題を国連に投げた。

国連は、パレスチナの土地を2国に分け、ユダヤ人がイスラエルを建国することになった。当時、この土地のユダヤ人の割合は3分の1だったが、56%の土地がイスラエルとなる。

さらに、ユダヤ人が、アラブ人にお金を払って土地を購入した以外に、住民を殺したり、脅して強奪したケースがあった。

それまで住んでいたアラブ人は土地を追われ、周辺のアラブ人の国々も納得がいかず、戦争になる。4回に渡る中東戦争が起きたが、イスラエルが勝ち、国連でアラブ人国家とされた土地もイスラエルの占領下に置かれた。

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建国の時点で問題があるのではないか、強奪や占領は黙認されているのか、先生に聞いたところ、イスラム圏以外の多くの国がイスラエルを認め、資金や兵器を提供しているとのことでした。

それまでに、長崎の平和学習で、原爆投下や太平洋戦争に関して、理不尽さを感じていたため、世界は相変わらず理不尽だなあと思いました。

その後も、ユダヤ人の歴史やタナハ(ユダヤ教の聖書)を調べたりして、コーラス曲「バビロンの流れのほとりにて」は、ユダヤの「バビロン捕囚」の歌で、この歌に出てくる「シオン」はエルサレムのことだとか、テルアビブ空港の事件はパレスチナ問題に関連していたのだなどいろいろ分かったのでした。

(ずっと後、カナン人の謎も解けましたが、別の機会に)

最右派と武闘派の戦い

下記は、イスラエルの建国から現在に至るまでの基本的な考え方で、それぞれ「過激派」と言われる人たちほど、この傾向が強いです。

イスラエル人、とくに政府は、悲願から創った国は何がなんでも守りたいと思っています。
迫害されてきた歴史の反省から、軍事力を高めて、弱者から強者になり、国土も拡げて強固にしたい。脅かす存在はもちろん、将来そうなりそうな存在は排除したいと考えています。

一方、パレスチナ人(アラブ人)は、自分たちの土地を奪われ、故郷を追われて、難民になっているうえ、残った土地も入植地として不法に奪われる一方で、奪われた土地、故郷を取り戻したいと思っています。
さらに、イスラエルの支配下におかれ、さまざまな理不尽な目に遭っているため、少なくともこれ以上理不尽な目には遭いたくないと思っています。

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1993年のオスロ合意で和平が訪れるかと思ったのですが、そうはなりませんでした。
イスラエルの強硬派は、パレスチナ人という「脅威」を排除したいわけですし、パレスチナ人のなかにも、納得がいかないから戦おうという人たちがいるからです。

現在のネタニヤフ政権はこの最右派で、ハマスはこの武闘派です。ハマスは、2006年の選挙で勝って政権を担うこととなりましたが、その後、選挙は行なわれず、ガザを実効支配しています。

ネタニヤフ政権としては、イスラエル国民が強硬姿勢になっている今、ハマスを壊滅させ、「脅威」を取り除くまで停戦はしたくないわけです。パレスチナ人の人権よりも、その優先順位が高いのです。

しかしながら、「人権」を守ろうとしている現代の国際社会において、街ごと破壊し、機能する病院を失くし、生き延びた子どもや、白旗を揚げている妊婦、国連などの職員、ジャーナリストまでをも殺害し、支援物資も十分に搬入させないなど、残虐性が高く、国際法を逸脱しています。

国連は、ガザへの人道支援の拡大を求める決議を採択していますが、イスラエルは戦闘継続を表明し、ジェノサイド(大量虐殺)は止まりません。

武力行使による安定は、個人的には「北風と太陽」の話の北風のように感じるのですが。