トランプ氏勝利で思うこと2024年
アメリカの大統領選挙は、激戦7州をトランプ氏が押さえ、圧勝しました。さらに、共和党は、同時に行なわれた上院選で過半数を取り、下院選でも過半数を維持しそうです。
8年前に「トランプ氏勝利で思うこと」「トランプ氏勝利で思うこと2」というブログを書いたので、今回も書きました。
8年前に書いたのは、トランプ氏は、差別的な発言や暴言で批判を受けてきたのに、「変化を求める人たちのパワーが勝った」ということです。
当時のCNNの出口調査では、とくに男性、40代以上、白人が「強いアメリカを取り戻す」ことへの期待を寄せているということでした。
トランプ氏に投票した人たち
今回の選挙でも、トランプ氏に投票した人たちの調査結果が、日経に載っています。
「AP VOTECAST」のデータと書いてあるので、調べたところ、「AP VOTECAST」は、シカゴ大学のNORCがAP通信とFoxニュースのために実施したアメリカの有権者調査ということです。
NORCって何? と調べたら、外郭研究機関のNational Opinion Research Center(全米世論調査センター)でした。
以前は、出口調査をしていたのを、期日前投票、郵送が半数になっているので、方法を変えたと書いてあります。そして、今回の調査は12万人を対象に、電話やオンライン形式で実施ということです。
トランプ氏に入れた人で、ハリス氏に入れた人よりも割合が高いのは、
- 男性
- 25~29歳(1%多い)、50~64歳、65歳以上
- 白人、アメリカ先住民など
- 最終学歴は、高校など、2年制大学
- 世帯年収は2万5000ドル~10万ドル未満(川嵜注:1ドル=153円で計算すると、382.5万円~1530万円。ほぼ皆? 2万5000ドル未満、10万ドル以上はハリス氏の割合が高いですが、2万5000ドル未満は、1人暮らしの学生が多いのでは?)
- 居住地域は、地方の中小都市、田舎
- 米国が最も取り組むべきテーマは、経済・雇用、移民(ハリス氏の割合が高いのは、医療、人工妊娠中絶、気候変動、外交、銃に対する政策、人種差別)
などです。
白人、男性の割合が高いのは、8年前と同じです。ラストベルト(さびついた工業地帯)と言われる、グローバリゼーション(地球規模化)で打撃を受けた、製造業と重工業の労働者は、これに当てはまります。
どう解決するのか説得力のある具体策は?
「AP NORC」のWebサイトを見ていたら、10月21日の記事で「有権者のうち62%は景気が悪いと回答している(38%が好調)」とありました。
そんななか、ナショナリスト(国益主義者)のトランプ氏が、リベラリスト(人権や多様性を大事にする自由主義者)のハリス氏に勝つのは、十分に考えられるでしょう。
景気が悪いと感じる人たちは、国益のために関税を課し、国内で製造する企業の法人税を下げ、経済と雇用を安定させてくれそうなトランプ氏に期待するでしょう。
トランプ氏は、チップは非課税にするなど、分かりやすい説明をしていますし、不法移民に寛容な政策はとらないことも強調しています。
これに対して、ハリス氏は、現政権の副大統領ですが、人権や多様性が、不法移民による犯罪、ドラッグなどの課題を生み、女子スポーツへのトランスジェンダー選手の参加が不平等感につながっているなど、さまざまな課題をどう捉えているのか、考え(現状分析)が伝わってきませんでした。
また、さまざまな課題を、今後どう解決していくのか、どういう新たな施策を打つのか、説得力のある政策を示すことも出来ていなかったのではないでしょうか?
自分をアピールする機会で、トランプ氏を攻撃するなどして、有権者を失望させています。
「トランプ氏のことは分かっているから、あなたの具体的な計画、とくに経済と雇用、移民対策について聞かせて欲しかった」と。
このあたり、有能な参謀はいなかったのか? と思います。
リベラル派の優等生的な「努力すれば、成功のチャンスが得られる」という価値観ではなく、「努力しているけれど、ひどい目に遭っている国民をこうやって救う」という力強いメッセージ(かつ政策)を考えられる参謀です。
「良くなる」イメージが湧くかどうか
トランプ氏は、ポッドキャストの有名人、ジョー・ローガン氏の番組で、3時間ぐらい喋っていて、取り繕わない人となりを出しています。
ローガン氏の立場は中立で、ハリス氏にも出演依頼をしていますが、ハリス氏は断わっています。
トランプ氏は、YouTuberのローガン・ポール氏などの番組にも出て、若い男性も取り込んでいます。
さらに、トランプ氏は、選挙の不正対策(監視)も行ない、(性的人身売買が行なわれていた)エプスタイン島の顧客リストの公開、人身売買業者の取り締まりの強化、ケネディ暗殺の真相の公開、911の真相の公開、ウクライナ戦争を終わらせるなど、これまでの政治家が出来なかったことを実行する発言をしています。
イーロン・マスク氏の貢献とアピールにより、トランプ氏が大統領になったほうが「良くなる」イメージが描けたのではないでしょうか。
逆に、ハリス氏を指示した有名人たちは、先日人身売買で起訴されたラッパー、ディディのパーティの常連とも言われていて、ハリス氏では「変わらない=良くならない」イメージを描いた人も少なくないでしょう。
今回、日米マスコミは、トランプ氏とハリス氏の「支持率は僅差」と言っていましたが、Xや独立系メディアなどでは、トランプ氏が優勢だとずっと言っていました。
マスコミが人々をコントロールする力が弱まり、SNSの力が強くなっているのでしょう。
(写真は、6年前にホワイトハウスの近くのお土産屋さんで買った、ドナルド・トランプダックと、空港で買った星条旗首枕。トランプグッズは、喋る人形、靴下などもあります。トランプ氏が返り咲いたので、グッズも復活)