「人権への配慮」で、現場は新たな対応が求められている

最近、「人権」という言葉をよく聞きませんか?

いやいや、20年前から言っていますけど。21世紀は「人権の世紀」※ですから。

もっと言うと、1948年に、国連が「世界人権宣言」を採択し、日本でも人権教育が行なわれてきています。
けれども、これまで、「人権」という言葉が、企業や学校、市民生活=私たちの暮らしのなかで、それほど使われていなかったのが、使われてきているように感じます。

企業の人事の人や、学校関係者から、「人権への配慮」という言葉をよく聞きます。

その際、女性や障碍者、外国人などに対する配慮は、以前から聞いていましたが、LGBTQ、発達障害、グレーゾーン、HSP(Highly Sensitive Person 繊細な人)などに対する配慮を、最近、よく聞きます。

配慮の幅がこれまでより広がっていますし、接し方も変わってきています。
たとえば、遅刻やルールを守らない場合の指導は、これまでは、皆の前で理由を聞き、やむを得ない場合(交通機関の遅れなど)以外は注意をするのが一般的でした。
けれども、個別に事情を聞き、困難な場合、支援する、一律から個別対応へと変わってきています。

それに伴い、公平性への配慮、全体の理解と支援体制の構築なども求められます。
結果、企業や教育現場での対応が複雑化してきています。

さらに、人権に関する配慮を、組織全体の意識を変えてもらうことから始め、具体的な対応(設備などのハード的な対応含む)、仕組み、体制に落とし込んでいくのは、なかなか大変です。

過渡期で現場は大変だが「世界平和」にもつながっている

けれども、世界的な潮流として「人権への配慮」は進んでいますし、以前のブログ(アンガーマネジメントに対する誤解と、アンガーマネジメントと人権、ダイバーシティとの関係)でも書いたように、アンガーマネジメント的なアプローチ(一人ひとり違いがあることを前提として、人間関係をよくしていく)が有効な部分は多いと思います。

先日、「アンガーマネジメント経営賞」(日本アンガーマネジメント協会)のプレスリリースが出されましたが、これは「お互いの人権を尊重し、ハラスメント、差別のない職場を目指す企業を表彰する制度」です。

この賞に対する、私の個人的な思い入れはじつは強いです。

アンガーマネジメントは、基本的には、個人が取り組む「セルフマネジメント」ですが、周囲の人、組織、チーム、皆で取り組んだほうが、効果は高いです。

そのことを多くの企業、組織の方々に知っていただきたく、この賞を協会参事としてプロジェクトメンバーと一緒に準備してきました。

「人権」や「ダイバーシティ」と「アンガーマネジメント」を結びつけてイメージするのはまだまだ難しいかもしれませんが、さまざまな立場の人、普通・常識が異なる人たちが、分断、対立し、戦うのではなく、その逆、融合、協調し、止揚する(アウフヘーベン より高い段階で生かす)日本、世界になればと思います。

そして、国際社会における「法の支配」が実現し、さまざまな人権侵害、ジェノサイドがなくなればと切に思います。