「ザ・シークレット」の作者の新作、「ザ・パワー」という本

「ザ・パワー」という本(角川書店発行)を読みました。これは、「 ザ・シークレット」という映像と本の作者、ロンダ・バーンの新作です。「ザ・シークレット」の本は、世界で2000万部を超えるベストセラーで、いわゆる「引き寄せの法則」について書かれたものです。

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「引き寄せの法則」とは、人生で起きることは、良いことも悪いこともすべて、自分(その人自身)が引き寄せている、頭の中のイメージが現実になる、つまり、自分の思考や感情が自分の未来を作るという法則です。
人の感情には「良い感情」(感謝、喜び、希望、満足など)と「悪い感情」(怒り、非難、心配、憂鬱など)があり、良い感情を保ち、起きてほしいことを強く念じれば、その思考(望み)は現実になるというものです。

「ザ・シークレット」の映像(DVD)を見たとき、演出が多少大袈裟な気もしましたが、言っていることは正しいと感じました。

  • 強く念じれば、そのとおりになる
  • 良い感情(良い気分)でいれば、ものごとが好循環し、悪い感情(悪い気分)でいれば、ものごとが悪循環する

これは、自分自身でも、仕事を通じてお会いしたたくさんの経営者でも、まさにそのとおりだと思いました。経営者でもそうでない人でも、明確なビジョンと強い信念をもち、あきらめなければ、やがて夢が実現するとはよく言われますが、「 ザ・シークレット」の「引き寄せの法則」では、

第一段階 求める。宇宙に注文を出す
第二段階 信じる
第三段階 受け取る。気分がよく幸せ

と説明しています。

そして、前向きな考え、良い気分でいることが重要だと言っています。
実際、社員、取引先、お客さんなど周囲の人に対して、常日頃から「良い感情」をもっている経営者と、「悪い感情」をもっている経営者の場合、明らかに前者のほうが経営がうまくいっています。

経営がうまくいっている経営者は、うまくいった結果、「良い感情」をもったのではなく、経営がうまくいく前から「良い感情」をもっていました。
このような人は、苦境も飛躍のチャンスとし、まわりの人の意見に耳を傾け、やり方を改善するなど前向きです。

ものごとを肯定的に捉えて「良い感情」をもつ経営者は、本人の精神状態や、脳や体の調子がよいだけでなく、まわりの人も経営者に協力したくなります。逆に、ものごとを否定的に捉え、「悪い感情」をもつ経営者は、本人が不調なだけでなく、まわりの人も「悪い感情」になったり、離れていきます。

これは傍から見ているとよくわかるのですが、常日頃から「悪い感情」をもっている経営者は、自分の「悪い感情」がまわりに悪影響を与えていることに気がついていません。本人は何事もまわりのほうが悪く、自分は被害者だと思い込んでいます。

そして、最初、両方の経営者は、ほとんど似たような状況だったにも関わらず、「良い感情」をもつ経営者は、経営がうまくいき、さらに「良い感情」になり、経営がうまくいく…と、好循環が起こります。
逆に「悪い感情」をもつ経営者は、経営がうまくいかず、さらに「悪い感情」が強くなり、経営がうなくいかない…と、悪循環に陥りがちです。

確かに、自分の思考・感情が、未来を作っていると言えるでしょう。

          ◆ ◆ ◆

「ザ・シークレット」の作者の新作、「ザ・パワー」は、作者が「ザ・シークレット」を出してから得た「全ての知識のエッセンスをまとめたもの」と、序文にあります。
そして、「人間関係やお金、健康や幸福、仕事など人生のあらゆる面を好転させるために必要なことはたった一つである」と、書かれています。

その「たった一つ」とは何なのか?
それは「愛」だと言います。

そう言われても、「はあ? 愛…」と、ピンと来ないかもしれません。むしろ、「愛」という言葉は、陳腐で、胡散臭い感じもします。
けれども、本を読み進むうちに、作者が言っていることはまったくそのとおりだと思えてきます。

「引き寄せの力とは愛の力なのです! 引き寄せは愛なのです。大好きな食べ物に夢中になっている時は、その食べ物に対する愛を感じています」

「あなたが愛するものや欲しいものを考える時は前向きです。あなたが欲しくないものや愛していないものを考える時には、思考は後ろ向きです。話はそれ程単純で簡単なことなのです」

「人は皆愛するものしか欲しくありません。愛していないものは欲しくないはずです。たとえば『あの靴が大好き、綺麗ね』と愛を感じて、その物のことを考えて話す時は、あなたの思考は前向きです。そして、そういう前向きな思考が、あなたに愛する物、つまり綺麗な靴をもたらすのです」

つまり、人生のあらゆる面を好転させるために必要な「愛」の力とは、大好きなもの、欲しいものを考え、夢中になり、前向きで、良い気分になることだと言っているわけです。

ゆえに「あらゆる愛するものを想起することによって、良い感情を増幅しましょう。愛するものを次々と数え続け、自分が驚く程良い気分になるまでそれらを数え続けましょう」というわけです。

          ◆ ◆ ◆

そして、「人生の環境を変えようとしてもがいてはなりません。良い気分になって愛を与えるのです。すると望むものが現れます」
「まず最初に、良い気分を発することが必要です。幸せな気分になり、次にその幸せを与え、そして、幸せのかずかずを受け取ってください。何かを人生で欲しいと思ったら、最初に与えなければなりません」とも書いてあります。

最初に与えること。
自分から投げかけると、物事は早く進みます。
そして、人に「良い感情」を与えると「良い感情」が、「悪い感情」を与えると「悪い感情」が戻ってくる割合が高いですよね。

「一般的な言い方では、引き寄せの法則を『類は友を呼ぶ』と言います。それを分かり易く言えば、あなたが与えたものがあなたに返ってくるという意味です」

「類は友を呼ぶ」ので、「良い感情」「愛」を発している人には「良い感情」「愛」が戻ってきて、「悪い感情」を発している人には「悪い感情」が戻ってくるという仕組みです。

しかし、そうはいっても、人はときには「悪い感情」になることもあります。そのときはどうすればよいのでしょうか?

「もし悪い感情があなたを支配しようとしたら、そこから抜け出る一つの方法は元気を出すことです!」
「悪い感情を嫌うのではなく、なるべく意識的に良い気分になるように心掛けることです」
「好きでないものからは距離を置き、それについて何の感情も持たないようにして下さい」とあります。

スルーする、関わりあわない、やり過ごす、ということです。

          ◆ ◆ ◆

さらに、「感謝」が「人生を何倍にも素晴らしくする鍵」だと言います。

「1.今までに人生で受け取ったものに感謝しましょう(過去)。
2.今、人生で受け取っているものに感謝しましょう(現在)。
3.人生に欲しいものに、あたかもすでに受け取ったかのように感謝しましょう(未来)」

「少しだけ感謝すれば、人生も少しだけ変わります。毎日たくさん感謝すると、想像できない程、あなたの人生は好転するでしょう。感謝は人生の全てのものごとを増幅するだけでなく、ネガティブなものを取り去ります」

たとえば「あなたの五感に感謝しましょう。目のお陰で物が見えます、耳のお陰で聞こえます、口のお陰で味わうことができます」といった具合です。
「体調が良い時、きちんと健康に感謝していますか? 病気とか痛みがある時だけ、健康の有難さを意識していませんか?」
「良く眠れることに感謝していますか? 或いは、眠れることを当然だと思い、眠れない時だけ睡眠のことを考えますか?」
「毎日生きていることに感謝していますか?」

失われたときに初めてわかる、自分が知らず知らずのうちに「受け取っているもの」に気づいて、「感謝」すれば、「良い感情」が得られ、人生が好転するということです。

          ◆ ◆ ◆

作者は「人生はあなたが思っているよりもずっと簡単です」と書いています。

「私達はある時点で、子供の頃のように遊びを楽しむことをやめて、結果として大人になるに従って人生を深刻に考えるようになりました。しかし、深刻になると、あなたの人生に深刻な状況がもたらされます」

「自分が望むようには事業がうまくいっていない場合は、あなたのビジネスに引き付けるものがないのです。(略)あなたの事業を想像以上に急上昇させるためのインスピレーションやアイディアは、愛の周波数上にあります。(略)気分が高まるとビジネスも回復します」

実際、事業がうまくいっていない経営者は、心配で夜、眠れなかったりしますが、そうかといって何か手を打つわけでもなく、ひたすら不安や「悪い感情」に縛られ、身動きが取れなかったりします。夜は運動してさっさと寝て、朝早く起きて散歩でもしたほうが「良い感情」になり、アイディアが生まれ、手が打てたりします。

「あなたの大好きなものと一緒にいて、大好きな事をして、大好きなものを持っている自分を想像して下さい。そうすればお金の事ばかりを考えているよりも、はるかにたくさんの愛を受け取ります」

ものごとをシンプルに考え、楽しむ、悪い面ではなく良い面を見て、良い感情でいれば、人間関係やお金、健康や幸福、仕事など人生のあらゆる面が好転するといいます。

そして、チャールズ・ハーネルという人の次の言葉を引用しています。
「愛が欲しければ、唯一の方法は愛を与えることだときづきなさい。愛は与えれば与えるほど、戻ってきます。愛を与えることができる唯一の方法は自分を愛でいっぱいに満たすことです。あなたが愛を引き寄せる磁石になるまで」

婚活に必死になり、しかし、うまくいかず、疲れ果てている人のなかには、相手の条件、相手が自分に与えてくれるものにはこだわっても、自分が相手に与えるものには関心がなかったりする人もいます。

さらに、「周りの人に愛を与えるときの留意点」として、「相手を変えようとすることは愛を与えないことです! 自分はその人にとって何が最善なのかが分かる、自分の方が正しくてその人が間違っている、などと思うことは愛を与えないことです!」とも書いてあります。

「相手の良い面、評価できる点、感謝できる点を探すことによって、今すぐその人との人間関係を変えることが出来ます」

「人生において最大の喜びは『与える』ことです。そして、人が与えることができるのは唯一つ、それは愛です。あなたの愛、喜び、前向きな姿勢、気持ちの高揚、感謝そして情熱、これらは人生の真実であり、永遠に続くものなのです。世界中の富を集めたとしても、愛という創造物の中で最も価値のある贈り物には勝てません! 最も価値のある贈り物とはあなたの中にある愛です!」

          ◆ ◆ ◆

  • 人生のあらゆる面を好転させるために必要なものは「愛」で、周りの人に自分から愛を与えること
  • 「悪い感情」を起こすようなことはスルーし、自分が受け取っているものに「感謝」し「良い感情」をもつこと

これが「ザ・パワー」に書いてあることですが、「それで本当に好転するの? 世の中、そして、人生、そんなに単純、楽観的、善的じゃないでしょう」「このご時世、そんなに甘くないだろう」と反論したくなる人もいると思います。

しかし、多くの人、なかでも経営者の栄枯転変を見て来た、そして、今も見ている自分としては、この「ザ・パワー」「ザ・シークレット」の法則は、そのとおりだなあと感じるのです。

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