「引き寄せの法則」のネタ本を読んだ感想はちょっと複雑
去年は全然ブログを更新せず、Facebookばかりだったので、今年はブログを更新しようと思っています(⇒ 川嵜のFacebook)。
さて、皆さんは「引き寄せの法則」って聞いたことありますか?
「引き寄せの法則」と「ザ・シークレット」
ロンダ・バーンという人のDVDと本、「ザ・シークレット」が、この「引き寄せの法則」をテーマにしていて、ここから「引き寄せの法則」という言葉があちこちで使われるようになりました。
「ザ・シークレット」の本は、2006年11月にアメリカで、2007年11月に日本で発売されていますが、1年前、2013年1月の段階で、世界2400万部のベストセラーになっています。
「ザ・シークレット」の後に、ロンダ・バーンが書いた本、「ザ・パワー」に関しては、このブログでも取り上げていて(⇒ ブログ)、そこで、「引き寄せの法則」にもふれていますが、簡単にまとめると、以下のようになります。
「引き寄せの法則」とは、人生で起きることは、良いことも悪いこともすべて、自分(その人自身)が引き寄せている、頭の中のイメージが現実になる、つまり、自分の思考や感情が自分の未来を作るという法則
「引き寄せの法則」
・強く念じれば、そのとおりになる
・良い感情(良い気分)でいれば、ものごとが好循環し、悪い感情(悪い気分)でいれば、ものごとが悪循環する
第一段階 求める。宇宙に注文を出す
第二段階 信じる
第三段階 受け取る。気分がよく幸せ
この「引き寄せの法則」「ザ・シークレット」は、ロンダ・バーンが、ある本を読んで「インスピレーションを得た」と言っているのですが、その本、つまり、ネタ本を、読んでみました。
ウォレス・ワトルズの「The Science of GETTING RICH」
それは、ウォレス・ワトルズという人の「The Science of GETTING RICH」(訳:金持ちになる科学)という本です。
ワトルズという人は、1860年にアメリカに生まれた、ジェームズ・アレンと並び称される成功哲学の祖という人です。著者紹介文には「彼の哲学を学んだナポレオン・ヒル、ロバート・シュラー、ナイチンゲール、クリントン元大統領、アンソニー・ロビンズらは、目覚ましい結果を得ている」と書いてあります。
「The Science of GETTING RICH」を訳した本、「富を『引き寄せる』科学的法則」(角川文庫)と「確実に金持ちになる『引き寄せの法則』」(三笠書房 知的生きかた文庫)を読んでみました。
読んだ感想は、この本の方法なら、成功している多くの人、経営コンサルタントの多くが賛成するだろうということです。「ザ・シークレット」の「引き寄せの法則」には疑問をもつ人も、これなら納得する、腑に落ちるだろうと思いました。
これは、いわゆる「王道」「正攻法」「正論」だと思います。
「確実に金持ちになる『引き寄せの法則』」の本のカバーに「◎今すぐ誰にでもできる!」と書いてあります。ある意味、そうかもしれませんが……。
「王道」は魅力的ではない?
「王道」というのは、たとえると、
「確実にダイエットに成功する方法は、消費エネルギー>摂取エネルギー にするだけ!」みたいなものです。
「司法試験に受かるための学習時間の目安は、1万5千~2万時間と言われている。この何倍かの時間をかけて、真剣に、きちんと理解・記憶しながら、マスターするだけで、誰でも受かる!」みたいなものですよ(笑)。
王道や正論は、当然、確実性は高いのですが、少しでも楽をしてよい結果を得ようという多くの人にとって、魅力的ではないのです。
だから、元ネタの最初の一歩を紹介している「ザ・シークレット」のほうが、ある意味、誤解されて(?)、人気が出ているのかなと感じました。
「ザ・シークレット」の「引き寄せの法則」は「The Science of GETTING RICH」の、最初の一歩、ものすごく大切な一歩ですが、一歩にしか過ぎない部分なのかなと、私は感じました。
「The Science of GETTING RICH」に書いてあること
で、結局、「The Science of GETTING RICH」には何が書いてあるのか?
端的に書くと、「明確なビジョンを持ち、決意と信念をもち、行動し続けること」が「金持ちになる科学」です。
とくに重要なのは「行動」です。
以下は、「富を『引き寄せる』科学的法則」から、引用したものです。
「自分の願望のビジョンをしっかり保ち、今すぐ行動を起こしてください」
「毎日、その日にできることはすべてその日のうちに、しかも効率よくしなければなりません」
「もし、今日何かやらなくてはならないことがあるのに、それをしなかったとしたら、そのことに関しては失敗したことになります。しかもその結果は、自分で思っているよりももっと深刻かもしれません」
「思考するだけでは十分ではありません。自分の行動にも注意を向ける必要があります。科学的、精神的に思考する人々の多くがつまずくのはそこです。思考と行動を一致させないからです。(略)人の手仕事もなしに、宇宙から直接何かを取り出すことはできません。人は思考するだけでなく、行動しなければならないのです」
「思考がすべてをやってくれると思い込んで、神秘的な方法やオカルト的な手法で思考を発信するようなことはやめましょう。それは無駄な努力であり、健全な思考力を弱めるものです」
自分を律して、毎日、やるべきことを、効率的にやれと書いてあります。
「ザ・シークレット」と大きく違うのは、この「行動しなければならない」、しかも、自分を律して、日々コツコツとやり続けなければならない点です。
次の一歩(行動)はあえて書いていないのでは?
さっきの例でいうと、
ダイエットを成功させるのなら、いつまでに何キロというのを明確に決めて、決意し、信念をもって、毎日、自分を律して、食事を減らすなり、運動しなければなりません。
司法試験に合格したいのなら、やはり、決意し、信念をもって、日々、決めた分の勉強をきちんとやり続ける必要があります。
「ザ・シークレット」の場合、「念じる」「信じる」だけのような印象を受けます。
けれども、ウォレス・ワトルズは、「人は思考するだけでなく、行動しなければならないのです」「思考がすべてをやってくれると思い込んで、神秘的な方法やオカルト的な手法で思考を発信するようなことはやめましょう。それは無駄な努力」と言い放っています。
さっき書いたように、「ザ・シークレット」の「引き寄せの法則」は「The Science of GETTING RICH」の、最初の一歩(思考する部分)だと思います。そして、次の一歩(行動)は、非常に現実的で、やれる人が限られ、魅力的ではないので、あえて書いていないのではと感じます。
そうなんです。ツナグバのブログにも書きましたが(ハッピーに過ごすヒント 第14回 楽に望みが叶う、人生が変わる、絶対うまくいく方法?)、「世の中、うまい話はない」ということや「正攻法」「王道」は、全然人気がありません。
今すぐ、一瞬で、誰でも楽にできる魔法の方法のように感じられるもののほうが、人気は高いのです。書籍、セミナー、コンサルティングまでも。
個人的には、そんな「看板に偽りあり」的な、大げさなアピール法は好きではないのですが、「これもマーケティングですよ」「表現は大切です」ということかもしれません。
いずれにしても、「ザ・シークレット」「引き寄せの法則」のネタ本を読んだ感想は複雑です。
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