個人商店・個人事業主のインターネットを使ったPR法

この前の土曜日、福岡のセミナーでお話をさせていただきました。

<セミナーデータ>
タイトル:個人商店・個人事業主のインターネットを使ったPR法
講師:川嵜昌子
日時:2011年2月5日 (土) 14:00~16:00
場所:福岡市 NPO・ボランティア交流センター「あすみん」
主催:日本経営士協会九州支部
URL:http://kyushu.jmca.or.jp/


内容は下記です。

・自己紹介
・なぜインターネット?
・商店・事業主の事例
・インターネット媒体の種類と位置づけ、連動のさせ方
・ツイッター(twitter)の特徴と活用法
・フェイスブック(Facebook)の特徴と状況(日米)、活用法
・ブログの特徴、ブログとホームページの使い分け、連動
・ホームページを自分・身内が作る際、業者に依頼する際の注意点。運用
・メールマガジンの活用法と注意点
・ダイレクトEメールの出し方
・アナログとの連動、他

<なぜインターネット?>(ダイジェスト)

個人事業主、中小企業経営者のインターネットに関する考え方、活用状況は次のようにさまざまです。

・そういう新しいことはよくわからない。まわりにわかる人がいない
・うちは地域の小さい店、個人だから関係ない。興味がない
・活用したいが、どうしていいかわからない
・以前、サイトを作ったが、お金がかかっただけで、メリットはなかった。営業の電話ばかり入る。もう2度とやりたくない
・更新の問題、その他で、ホームページ作成会社とトラブルが発生している(←こういう先が増えています)
・ライバルがインターネットを活用し、売り上げを伸ばしたため、インターネットに関心がある
・お客さんが発信した情報が、思わぬ増客につながったため、サイトを作った。もっと活用したい
・積極的に活用している。あれこれ試行錯誤し、独自のノウハウができ、売上が急増。ビジネスモデルが替わった

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インターネットには興味がないという経営者もいますが、ホームページを作る作らない、インターネットでPRをするしないという前に、知っておいたほうがよいことがあります。

それは、既にインターネット上にはいろんな情報が膨大に流れていて、多くの人がそれらの情報にふれているということ。情報を受け取るだけでなく、普通の人が誰でも情報を発信できるということです。

だから、自分が情報発信をしなくても、自分のお店や会社の情報が流れていたり、これから流れる可能性がある。とくに、BtoC、一般消費者向けのビジネスはそういう可能性があります。

たとえば、○○というお店は親切だとか、逆に、対応が悪いとか、□□という病院はやぶ医者だとか、いろいろな人の感想や意見がインターネット上に流れています。
それぞれの人によってとらえ方は違うし、誤った情報や古い情報もあります。

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以前は、お店や会社の情報は、職業別電話帳か街の広告、すなわち、バスや電柱などの広告、タウン誌の情報、チラシなどから得るぐらいでしたが、今は、何か情報を得たいときは、携帯電話やPCで調べるようになってきています。遠隔地や海外のお店や会社の情報も探せます。

それらの情報には、お店や会社が発信するものだけでなく、皆が発信する情報も入ります。お客さんだけでなく、全然利用したことのない人の情報もあります。

逆に、インターネット上に情報がなければ、探せません。
たとえば、今度、どこどこに行くけれども、近くにこういうお店はないかと探したとき、実際にそういうお店があっても、インターネット上に情報がなければ、検索しても見つかりません。

だから、きちんとした情報を流していなかったり、情報が不足していれば、知らないうちに損をしている可能性があります。

「うちは地域の小さい店だからいい」と言っても、近くの人がよく知らないこともあります。ホームページを見て初めて「そういう商品も扱っていたのか」とか「店主はそういう人だったんだ」とわかることも少なくありません。

ホームページを出していれば、たとえば、お土産にもらったお菓子がおいしかったので買いたいというとき気軽に注文できたり、「チョコ味もあるのなら、これも一緒に買おう」ということもあり得ます。

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そして、これは、お店や会社に限りませんが、インターネットの情報発信や、情報への対応は、一歩間違えると、とんでもないことになる側面ももっています。
最近も、ある議員が深く考えずに、twitterでつぶやいたことが、関係者の怒りにつながりました。また、あるホテルの従業員が、有名人がホテルに来ていることをtwitterでつぶやいて、問題になったりもしています。
あるジャーナリストの記事の書き方が、読者の怒りを買って、ページが炎上もしています。炎上とは、非難・批判のコメントが殺到して対応できなくなることです。

お店や会社へのクレームや、間違った情報への対応なども、きちんと行なわないと大変なことになります。

だから、単にインターネットでPRしましょうという話ではなく、インターネットの特徴をきちんと理解して、的確かつ効果的に対応しましょうということです。インターネットはもはや無視できないメディアになっており、今後、ますますそうなっていくでしょう。

今は、インターネットを使えば、個人が自分でブランディングを行なえる時代です。インターネットを活用して、売り上げを上げたり、ビジネスモデルがすっかり替わったというお店・会社もあります。とくに、他と違うユニークな商品、サービスをもっているところは、地域を超えて、お客さんを得ることもできます。
これまでできなかったことが、個人でもできる時代ですので、そのチャンスを活かす方法について考えていきましょう。

          ◆ ◆ ◆

このあと、商店・事業主の事例、インターネット媒体の種類と連動のさせ方、各媒体の特徴や現状と注意点、活用法の話をさせていただきました。

実際の活用法以前の「なぜインターネット?」は、私が経営者の方々と話をさせていただくなかで、これを先にきちんと伝えておかないといけないなあ、と思った部分です。

インターネットを活用している経営者と、そうでない経営者では、インターネットに対するとらえ方がかなり違います。すなわち、インターネットの出現が、産業構造やビジネスの仕方に変化をもたらしている、「時間」や「場所」「情報」「コミュニケーション」の概念を変えていることについて、活用していない人はあまりピンと来ていません。

インターネットは、限られた人たちの話、ビジネスでいえば、コンピュータに関係した業種、IT業界の話であって、小さなお店や会社、ましてや自分とは関係ないと思っている経営者も少なくありません。

だから、既に「インターネットの時代」になっていること、今後、ますますそうなっていくということを理解していただく必要があります。

さらに、インターネットは、じゃあ使えば何か素晴らしいことが起きるのかといえば、そう単純ではありません。

インターネットを活用し成果を上げている会社も、いろいろ試し、徐々にノウハウを構築した結果、そうなったという面があります。お店や会社のビジネス活動に、インターネットをどう結びつけ、補完していくか、あるいは別の新しい仕組みや、新しいビジネスをどうつくるのか、試行錯誤しながら、自社にとってよい方法を見つけ出しています。

インターネット媒体それぞれの特徴、現状や、ビジネスでの使い方を知ることに加えて、実際にいろいろやってみる、やりながら調整していくことが大事だと感じます。