ネットを使ったビジネスは進化を続ける

前回、「インターネットは、今後、可能性が拡がる一方」で、「インターネット上では、もはや世界はボーダーレス」と書きました。

たとえば、私は、今年、ミーティングや勉強会で「Zoom(ズーム/Web会議サービス」をよく使ったのですが、アメリカからも勉強会に参加される方がいらっしゃって、改めて、「ああ、そうだ、インターネットは海外も関係ないのだった」と思いました。

以前、雑誌の編集部の人に「いつもSkype(スカイプ/インターネット通話サービス)で取材をしてもらっているので、シンガポール在住やアフリカ在住の人(日本人)の取材も大丈夫ですよね」と言われたときも、「相手が海外だったら、こちらが東京でも長崎でも変わらないのか」と思ったのです。

ちなみに、Zoomは「会議」向けの設計なので、Skypeに比べて、複数でつなぐ場合も安定しています。

こういう「人と人をつなぐ機能」は、電話や郵便からインターネットになって劇的に発展したと思います。今後は、「VR(バーチャルリアリティ/仮想現実)」「AR(オーグメンテッド・リアリティー/拡張現実)」なども加わり、精度が高まって「よりリアルにつながる」ようになると思います。

遠隔地の診療など、今もiPadを使ってやっている地域もありますが、さらに、できることが増えていくでしょう。

「場所と場所をつなぐ機能」なら、たとえば、東京(に限らず、世界じゅうの)イベントやビジネスショーの会場を、別の場所に「リアルなサイズ」で再現して参加でき、コミュニケーションもとれるなどというサービスも考えられます。

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このようなインターネットビジネスの可能性は随分前から感じていましたが、最初の頃は人にイメージしてもらうのがなかなか難しかったというのがあります。

じつは、1995年に、アメリカにインターネットビジネスを取材に行った際に、可能性をものすごく感じて、当時の会社の役員の方々に一生懸命話をしたのですが、あまりピンと来てもらえなかったという残念な出来事があります。

役員「インターネットは一時的なブームでしょう」
「いえいえ、インフラです。歯科医の予約ができるのですよ(当時既にアメリカでそういうサービスを行なっていた)」
役員「電話でできるでしょ」
「電話は苦手な人もいるし、時間外、深夜でも予約できるのですよ。歯科のスタッフも電話に出なくていいし」
役員「う~ん、そんなの使うのは一部の人だよ」
「いえいえ、新しいインフラとして、そのうち電話よりもメインになると思いますよ。見越して何かやったほうがいい」
役員「大袈裟だよ」
というような会話をしたのを今でも覚えています。

しかし、現時点でも、まだまだインターネットビジネスの「伸び代」は大きいと思います。

新たな「商品・サービス」のアイデアは、日常生活で「あ~、もうちょっとこれがこうならいいのに」「何でこれこうなっていないのだろう」「お金を出していいので、こうしてほしい」と思うことを解決する方向でいろいろ出てきそうです、とくに地方は。

以前取材した楽天の役員の方は、「東京の一極集中の歴史に楔を打ち込んだのはEコマース。Eコマースで地元にお金が落ち始めた。リアルの店舗なら、過疎化で買う人がいない地域でも、Eコマースは全部がマーケット。逆に言い訳もできない」とおっしゃっていましたが、その通りだと思います。

まあ、まだ人・物・金・情報が多くて、ビジネスセンスが鍛えられる大都市圏の商業者のほうが、Eコマースでも強いのかもしれませんが。

改めて書きますが、インターネットは「人と人・場所と場所・人と場所をつなぐ」機能で、もはや電話を超えたインフラなので、「よりリアルにつなぐ」という点から、何か新しいサービスを提供できるのではないでしょうか?

アイデアは、たとえば、大都市圏「だけ」にいる人、地方「だけ」にいる人よりも、あちこち移動している人のほうが思いつくはずなので、そういう人にヒヤリングするのもよいかもしれません。

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2019年もあっという間に終わりに近づいています。
2020年は、少しは「未来」に近づくのでしょうか?

子供のとき、大阪万博に行って「これが近未来です」というのをリアルに見せられたおかげで、現実世界の進行速度がものすごく遅く感じられます。

けれども、「未来」は未来人が持ってくるわけではなく、自分たち、世界中の多くは名もない人たちの日々の地道な努力でつくられるものでしょう。

なので、来年は「どうなるのか?」と依存的ではなく「どうするのか」と主体的に考えたほうがよさそうです。