私が「晴れ女」と名乗らなくなった理由
最初に断わっておきますが、今回のブログは、決して「晴れ男」「晴れ女」と名乗っている人や、それ自体を否定するものではありません。あくまでも自分の心境の変化です。
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世の中には、「晴れ男」「晴れ女」と呼ばれる人がいます。その人がいると、イベントや外出の際、いつも天気がよくなると言われる人です。
逆に、いつも雨になると言われる「雨男」「雨女」と呼ばれる人もいます。
私は、ずっと「晴れ女」と言われてきました。自分が関わっているイベントや講義、外出時、晴れることが多く、雨や台風の予報でも、急に天気がよくなることも多々ありました。
しかし、あることをきっかけに、自ら「晴れ女」とは言わないことにしました。
そのきっかけは、私のところに、相談(アンガーマネジメントコンサルティング)に来られた方のお話です。
その方(女性。Aさん)は、夫の母(義母)のことで悩んでいました。
Aさんは、義母が自分は「晴れ女」なのにAさんが「雨女」だと信じ、責めることに憤りを感じていました。
家族の行事や、ときにはAさんが同行しない義母の外出などでも、雨が降ると、「あなたの心がけや行ないが悪いから雨になる」と言われるのだそうです。
Aさんは、最初は、単に何か責める材料がほしいのだろうと思っていたそうですが、だんだん気が滅入ってきたと言います。
Aさんが言うには、義母だけでなく、夫の一族は皆、自分たちが「晴れ男」「晴れ女」であることに強い自信を持っていて、雨が降ったら、犯人探しをするのだそうです。
Aさんは「おかしいと思いながらも、だんだん自信を失ってきている」とのことでした。
私が、アンガーマネジメントコンサルティングの手法を使って、Aさんに今後どういう行動をとったらいいか考えてもらった後、「お義母さんの言う通りなら、砂漠緑化や干ばつ対策に、心がけや行ないの悪い人を派遣するプロジェクトが動いているはずです」と言うと、Aさんは「本当ですよ」と涙ぐんでいました。
お話を伺いながら、Aさんの義母だけでなく、「今年の卒業生は問題が多かったから卒業式は雨だろう」という先生や「成人式が悪天候の年の子たちは、出来が悪い」という行政の方、「入社式が雨の新入社員は期待できない」という経営幹部の発言を思い出しました。
言っている人たちは、非科学的だということは分かりつつも、どこか迷信を信じている節があります。
迷信がポジティブに働けば、自信や自己肯定感につながり、効果はあるのでしょうが、ネガティブに働いて、他者を否定するのはいただけません。
そもそも「恵みの雨」でもあるのに、雨=悪と捉えるのも、偏っています。
とくに、指導者や、企業・組織の幹部が、ロジカルな裏付を無視して、迷信を信じたり、偏向的だったりすれば、場合によっては、多くの人を巻き込んで、破滅の道につながります、神風特攻隊のように。
経営幹部と関わることが多い私は、ロジカルで多面的視点、クールヘッドとウォームハートを大切にしたいと思ったのでした。