成長企業に溢れていて、世の中には溢れていないもの
私は、20代から40代まで、急成長のベンチャー企業で働いていました。
働いていたときには気づきませんでしたが、そういう会社には溢れていて、世の中にそこまで溢れていないものがあります。
自社だけでなく、経営者向け雑誌の取材に、成功事例あるいは注目事例として行った先(企業・組織)にも溢れていました。
それは何か?
「希望」です。
希望とは何か? 辞書には「あることの実現をのぞみ願うこと。また、その願い。将来に対する期待。また、明るい見通し」と書いてあります。
「将来に対する期待、明るい見通し」「可能性」を信じているのが、成長企業や成功している、あるいは、注目を集めている赤丸上昇中の企業・組織の人たちです。
彼らはだいたいニコニコしています。
まず経営者がものすごく楽しそうに今後のことを語ります。取材に行くと、経営者はもちろん、こちらも笑いすぎて、顔が痛くなるほどです。
その企業・組織の建物(部屋)に入ると、明るい元気な声が聞こえてきます。社員の動きが軽やかなのに勢いがあります。
社員は、最初から経営者ほど「将来に対する明るい見通し」を信じていなかったのかもしれませんが、実際に仕事がうまくいって、業績が上がる、成功体験を積んでいくうちにだんだん信じるようになります。
「あれもできる」「これもできる」と感じられ、「あれもやってみたい」「これもやってみたい」という気持ちになると、もし困難なことがあっても、なんとかクリアしようと思い、試行錯誤します。頑張ってクリアできると、自信が生まれ、ニコニコ顔になります。
ずっとそういう環境にいると、信じて頑張ってクリアするということが普通になりますが、そこから離れると、世の中にはじつはそれほど「希望」が溢れていないことに気がつきます。
最初から「希望」が溢れていなかったわけではないと思います。
「うまくいかない」「あれもできない」「これもできない」と感じると、元気も出ない。明るくニコニコできない。軽やかな気分ではない。やってみたいことはなくなる。何をやっても無駄だという「学習性無力感」に陥ってしまいます。
明るい見通しを描けない。可能性を感じられない。すなわち「希望」が失われていきます。
「希望」が失われると、困難なことがクリアできにくくなり、さらに自信が失われます。
「希望」は大きなエネルギー源ですが、本当はただの気分で、勝手に信じているだけなので、いつでも、どんな状況でも、見出そうと思えば見出せるはずです。
しかし、きっかけがあったほうがいい。
私がやっている「ビジョン塾」というワークショップも、「火星ピザ」というイベントも、じつはそのきっかけのひとつです。
「アンガーマネジメント」や「モチベーションマネジメント」も、「希望」につながるものだと感じます。
じつは私は、「希望」があまり感じられない場所は居心地が悪いので、「希望」のきっかけを提供して、そこの人たちがニコニコできるようになればいいなと思っています。
とくに、経営者や組織のトップの仕事は、社員、メンバーに希望を語り、一緒に実現することだと思うので、経営者、トップがものすごく楽しそうに今後のことを語り、社員、メンバーと顔が痛くなるほど笑えるといいなと思います。
次回も「希望」について書きます。