世界が落ち着かない時代、自分の心をどう守るか?

いまは、新聞やテレビだけでなく、SNSを通じても世界の出来事が次々に入ってきます。
たとえば、イラン攻撃やその影響など、世界では落ち着かない出来事が続いています。
そうした状況のなかで、私たち一人ひとりの心まで、知らず知らずのうちに落ち着かなくなることがあります。
さまざまな情報が、私たちの心を揺らします。
昨年は、日本に大地震が来るという、たくさんの「予言」がSNSで話題になりました。いまも、さまざまな「予言」や「都市伝説」「未来から来た人の言葉」などがSNSで紹介されています。
30年以内に南海トラフ巨大地震、首都直下型地震などが起きる確率は高いと言われていて、多少なりとも気になる人は少なくないでしょう。
もちろん、備えあれば憂いなしで、防災意識を高めることは大切です。けれども、備えることと、漠然とした不安で心が落ち着かなくなることは違います。
国際情勢に関しても、さまざまな専門家が、それぞれの見方から違う予測をし、真逆の意見を語っていたりもします。何が正しいのか、この先どうなるのだろうと、不安な気持ちになるかもしれません。
こういう時代に、私たちが自分の心を守るためにできるのは、次のようなことです。
1.情報に触れる時間を決める
気になるからといって、1日に何度もニュースやSNSを見ていると、心は休まりません。
やみくもに情報を浴び続けるのはやめ、「朝に1回、夜に1回だけ確認する」「寝る前は見ない」などと決めるとよいでしょう。
情報は大事ですが、情報に触れすぎて、心が落ち着かなくなることもあります。自分の心を守るためには、情報の量を調整することが必要です。
2.情報の読み方:情報にはバイアスがかかることがある
さまざまな情報には、事実もあれば、曖昧な情報、プロパガンダ(政治的な宣伝)、誤情報、偽情報もあります。
また、事実でも、情報発信者の立場や解釈、感情によって、伝える内容や意味づけは変わってきます。
「歴史的事実」とされていることも、後から新しい発見や分析によって変わることがあります。
つまり、情報にはバイアス(認識の歪み)がかかっていたり、必ずしも正確でなかったりすることを意識したほうがよいということです。
とくに国際情勢はとても複雑です。表に出ていない情報もあります。
そういったなか、SNSには「絶対にこうだ」「もう終わりだ」「これは隠されている真実だ」など、断定的な言い方や煽る表現のものも多く、感情を揺さぶりやすいです。
さまざまな情報に対して「正確ではないかもしれない」「事実ではないかもしれない」という姿勢でいたほうがよいでしょう。
また、感情が揺さぶられる情報からは距離を取ることで、情報に飲み込まれにくくなります。
3.情報の集め方:海外など別の角度からの情報にも触れる
これまで、信頼できる情報源として「公的機関や大手メディアの情報を確認しましょう」と言われてきましたが、いまは、公的機関や大手メディアの情報に不信感を持つ人も増えています。
「公的機関は都合のよいことしか言わない」「マスコミは偏っている」と感じる人もいるでしょう。
そうかといって、SNSの情報も玉石混交です。
そうなると「何を信じればよいのかわからない」ということにもなります。
そこで、国際情勢であれば、海外メディアや現地に近い情報にも触れてみることが助けになります。たとえば中東の問題であれば、アルジャジーラのように現地に近い視点から報じているメディアを見ることで、日本の報道だけでは見えにくい背景がわかることもあります。
いまは、Webの翻訳機能もあるので、以前より海外の情報に触れやすくなっています。
もちろん、海外メディアにも偏りや立場はあります。
大切なのは、別の角度の情報を入れて、自分の見方が一つに固まりすぎないよう、柔軟な捉え方ができるようにすることです。
4.不安になったときは、不安の中身を書き出してみる
不安は、漠然としているほどふくらみやすい傾向があります。
世界情勢や、災害など将来の危機の情報で「何となく不安」「何か大変なことが起こりそう」と感じたら、それを整理してみましょう。
「自分は何が不安なのか」を箇条書きにしてみることが助けになります。
たとえば、「戦争そのものが怖い」のか、「日本への影響が不安」なのか、「物価が上がることが心配」なのか、「家族の安全が気になる」のか、なるべく具体的に書いてみましょう。
そして、その不安に対して、自分にできる準備や対策を考え、これも書いてみましょう。
災害が不安なら、防災グッズや避難の方法、避難先の確認をする。生活への影響が不安なら、貯金をする、家計を見直すなどです。
反対に、今の自分ではどうにもできないことを、何度も頭の中だけで考え続けると、不安は大きくなるばかりです。「自分ができること」にフォーカスするよう心がけたほうがよいでしょう。
5.意見が違っても、戦いにしない
たとえば、イラン攻撃をめぐって「許容できない」と考える人もいれば、「一定の意味がある」と考える人もいます。
政治の話は、それぞれの人の考え方、価値観が出て、自分の正しさを相手に認めさせようと、感情的になりがちです。会話が対話ではなく戦いになることもあります。
「自分の考えを持つこと」と「違う意見を持つ相手を言い負かすこと」は別です。
意見が違い、戦いになりそうなとき、相手を変えようとせず、「そう考える人もいる」と受けとめるようにしましょう。
感情的になりそうな場合、話を切り上げ、次からは、その人とその話はしないことも、自分の心を守る方法の一つです。
6.自分の傾向を知る
自分がどんな情報に影響を受けやすいのか、傾向を知っておくのもよいでしょう。
たとえば、ある情報に関して気になって、何度も検索してしまうなどです。
5の「意見の違い」でも、違いが気になることと、気にならないことがあると思います。
基本的に、自分にとって大切なことは、違いが気になりますが、これまでの経験や自信の有無などによっても「こだわる度合い」が変わったりもします。
自分に影響しやすいテーマと、自分が不安なときにしやすい行動、たとえばSNSを見続けてしまうなどを意識して探ってみましょう。
探ることにより、「この件を深追いするとまずいな」と気づき、対処もしやすくなります。
7.日常に戻る
ニュースやSNSを見て心がざわついたときは、気分を変えるために、深呼吸をする、散歩をする、家事をする、お茶を飲むなどして、心と体を日常に戻しましょう。夜中に、SNSを見続けたりせず、眠ることも大切です。
国際情勢も災害も、個人の力だけで動かせるものではなく、不安をゼロにすることも難しいです。
けれども、自分に入ってくる情報量をコントロールする、不安に備えるなど、自分でできることもあります。
世界が落ち着かない今の時代に必要なのは、揺れながらも、自分を整え、守ることなのかもしれません。

