オンラインによる仕事戦国時代の幕開け?

コロナの影響によるステイホームで、Zoomなどのオンライン会議ツールの利用が急速に拡大しています。

Zoom社(正しくはズームビデオコミュニケーションズ NASDAQ上場企業)のニュースリリースによれば、同社の第1四半期(2~4月)の売上高は、前年同期比169%増の3億2820万USドルだったということです(169%増は、69%増ではないですよ。2.69倍になっているということですよ、念のため)。

余談ですが、この第1四半期は、「2021第1四半期」と書いてあって、何で来年?と思いますが、日本の場合、期が始まる年を年度とするのに対して、アメリカの場合、期が終わる年を年度とします。Zoom社は2021年1月に期が終わるので、2021第1四半期なのです。

そして、Zoom社の今後の業績見通しは、第2四半期の売上高が4億9500万~5億USドル、2021会計年度全体で17億7500万~ 18億USドルということです。

当然ながら、同社の株価は上昇しています。

オンライン三昧

世界的にオンラインの利用が急拡大しているはずですが、私もオンライン三昧です。

5月に、自分の主催のセミナー、説明会、他の人の主催のセミナーへの参加、勉強会、会議、打ち合わせなどで私がオンラインを利用した分を合計すると、24回、57.5時間となりました。

この57.5時間は、開始から終了予定の時間で、開始前からつなぎ、終了時間に終わっていないケースもあることを考えると、実数はもう少し増えます。

いずれにせよ、こんなに長時間のオンライン利用は初めてです。

5月は(4月も)ずっと机の前にいるなあと思ってはいましたが。

オンラインを利用した気づき、メリット、デメリットに関して、皆、さまざまなことを感じていると思いますが、私は「仕事戦国時代の幕開け」ではないかと思いました。

全部がマーケット

以前、取材した楽天の役員が、次のように言っていました。

「Eコマースの購買者の地域別の割合は、インターネット人口の割合通りなのです。首都圏、関西圏、東海圏のお客さんが、地方のお店にお金を落としています。リアルの店舗なら、過疎化で買う人がいない地域でも、Eコマースは全部がマーケット

これと似たようなことを、オンライン講座を行なって感じました。

首都圏のお客さんが多く、次に関西圏のお客さん。そして、オプションサービスまで頼む人たちは、「オンラインショップでお金を使う人たち」と同じ、可処分所得の高い地域、属性の人たちのような気がします。

「Eコマースは全部がマーケット」と同じように、「オンライン講座は全部がマーケット」なのです。

そして、テレワークに関して。

テレワークなら、場所を問いません。実際に首都圏から地方に帰ってきている人もいます。長距離通勤不要、車いすなどのいわゆるハンディキャップも問わない。

「テレワークは全部がマーケット」なのかもしれません。

「全部がマーケット」となると、これまでとは違う枠組みで勝負をせざるを得なくなり、「仕事戦国時代」の幕開けになるのかもしれません。

以前「都会と地方でのビジネスの仕方の違い」というコラムを書きましたが、「全部がマーケット」だと、都会のビジネスのやり方になると思います。

期間限定?

とはいえ、現在のオンラインの利用は、「期間限定」と考えている会社、サービスも多く、オンライン講座もテレワークも減少するでしょう。

今回のような、急激な変化は、多少なりとも揺り戻しが起きるはずですから。

それは、多くの人が「変化」に対して、好ましいとは感じないからです。

以前参加したリーダーシップに関するセミナー(リーダーシップは学べるのか? 組織と人の関係を考える ハーバード・MIT発のリーダーシップ・サイエンス 第1回)では、リーダーシップは人に変化を求めるが、人は変化によって何かを失うことに対して抵抗するので、変化を求めるリーダーを引きずり降ろそうとすると言っていました。

また、FFS理論的には、日本人の6割以上は「保全性」が高い(守りの傾向。現状維持に力を入れる)ということですので(参考:「一歩踏み出せない」あなたをエースにする方法)、急速な変化は続かないと思います。

しかしながら、変化が好きで、「拡散性」の高い人(攻めの人。変化を求める)もいて、この人たちはなかなか挫けないので、徐々に「仕事戦国時代」にはなっていくのでしょう。

ちなみに、私も拡散性が高いタイプなので、「全部がマーケット」に対して、対応を進めていきたいと思っています。