モラトリアム法案(返済猶予法案)に、経営者が危惧すること

例の、中小企業の融資の返済を猶予する「モラトリアム法案(返済猶予法案)」ですが、帝国データバンクの調査結果が出ています。⇒帝国データバンクのニュースリリース

これによると、中小企業で「賛成」は27.0%、「反対」は38.4%、「分からない」は34.6%、また、中小企業で申請を「検討する」は13.0%、「検討しない」は63.6%、「分からない」は23.4%となっています。


「賛成」がやや少なくて3割程度、「反対」がそれより多くて4割弱、「分からない」も結構多い、という、この感覚、私は、最近、全国の中小企業経営者の話を朝から晩まで聞いているので、よくわかります。

リリースに載っている「賛成」とした企業の意見「中小企業が元気にならなければ景気は良くならない」、逆に「反対」とした企業の意見「前向きな資金を必要とする企業への融資資金が硬直化する」「返済猶予を受けることによるその後の弊害の方が大きい」は、両方ともそのとおりだと感じます。

経営者が一番危惧するのは、ただでさえ融資が受けにくい環境なのに、さらに追加融資が受けにくくなるに違いないということです。
この前書いたように、企業は売上が上がっても下がっても「先立つもの(=資金)」が必要ですが、政府系の融資もかなり厳しくなっていますし、銀行も自らの経営が困難になるようなことはできない、つまり、融資は慎重にならざるを得ない状況がさらに増すわけです。

お話をさせていただいた経営者の多くは、融資の返済に関して、そこまで困っているわけではなく、どうせ返さなければいけないので猶予してもらっても仕方がないと言っています。それはもちろん、利益が減少しているなかから、返済にまわさないといけないのは厳しくはありますが、それよりもむしろ、追加融資が難しくなったり、条件が悪くなる(貸出金額が減ったり、金利が高くなる)ほうが困るとのことでした。

これは、もっともなことで、平たく言うと、「入れば出せる」のです。売上でも融資でも、お金が入れば、それを元手にビジネスができて、利益が上がれば返済にまわせるのです。

働く人にたとえていうと、十分な給与が入れば、借金があっても返済はできるのですが、借金返済を先延ばしにするかわり、給与は減らす、あるいは、なくすかもしれないというのなら、そっちのほうが困るという、それと同じ話です。

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さて、この帝国データバンクのリリースには、2009年度の売上見通し(実績含む)について聞いた結果も載っています。
全体で、「上方修正」が8.2%、「変わらない」が26.7%、「下方修正」が57.9%、「分からない」が7.1%となっています。これは、売上が、前年度に比べてどうかと聞いているのではなく、期初計画と比べてどうかと聞いており、6割弱が「下方修正」というのは、計画より売上が下回るということです。

なぜ、下回るのか? 主な要因として「販売数量の減少」が85.2%、「販売単価の低下」が45.5%、「個人消費の一段の低迷」が35.6%となっています。つまり、思ったより(計画より)売れなかった、ということで、もうそのとおりだろう、という感じです。やはり厳しい状況です。