こんなご時世にやるべきこと

3月11日に、WHO(世界保健機構)の事務局長が、新型コロナウイルスについて「パンデミック(世界各地での同時多発的な流行)」宣言をしました。

日本でも、新型コロナウイルスの患者数は増え、多くの人の仕事や活動に大きな影響が出ています。フリーランサー、個人事業主で、死活問題になっている人も少なくありません。

前回、書いたように、こういう、自分でその状況を変えられないときには、その状況を受け入れ、「今、できることを考えて行動する」しかありません。

まずは現状への対策、次に今後のリスクヘッジ、および中長期的な視点からの自分(自社)のビジネス、仕事、活動の方向性の確認と新たなチャンスの模索もしたほうがよいでしょう。

知人の会社で、今回初めてリモートワーク(オフィス以外の場所、自宅、カフェ、コワーキングスペース等で仕事をすること)と、Zoomを使ったミーティングをやってみたというところもありますが、こういう新しい試みは、今後もビジネスに活かせると思います。

経営者や幹部は、BCP(事業継続計画)的なことを考えるとよいと思います。
BCPとは、中小企業庁のサイトには、「企業が自然災害、大火災、テロ攻撃などの緊急事態に遭遇した場合において、事業資産の損害を最小限にとどめつつ、中核となる事業の継続あるいは早期復旧を可能とするために、平常時に行うべき活動や緊急時における事業継続のための方法、手段などを取り決めておく計画」と書いてあります。

フリーランサーの場合は、こういう機会なので、自分のビジネスモデル (事業で収益を上げるための仕組み) を見直して、足りない部分は補強策を考え、強い部分はさらに強化する方法を考えるとよいでしょう。

会社員の場合は、改めて自分の人生で何が大事なのか、何を優先するかについて考えてみるとよいと思います。

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そこで、前々回に書いたように、「ビジネスモデルキャンバス」「リーンキャンバス」「ビジネスモデルYOU」について説明します。

「ビジネスモデルキャンバス」は、日本では、2012年に出された本「ビジネスモデル・ジェネレーション ビジネスモデル設計書」amazonで見る)で紹介されたビジネスモデル(事業で収益を上げるための仕組み)のフレームワーク(枠組み、骨組み、ひな形)です。

これは企業向けで、個人向けにしたのが、「ビジネスモデルYOU」です。2012年に出された本「ビジネスモデルYOU」amazonで見る)で紹介されたビジネスモデルです。
フリーランサーのみならず、個人の活動、会社員でもキャリアを考えるときに使えます。

個人事業主は、その事業の傾向によっては、「ビジネスモデルキャンバス」を使ったほうがよいでしょう。
本人が専門家、士業、職人、オーナーシェフなど、自分の技術力、魅力でビジネスをしている場合は、「ビジネスモデルYOU」のほうがよいと思いますが、そうでなく、むしろ、そういう人たちに依頼して、ビジネスを行なっている場合は、「ビジネスモデルキャンバス」で考えたほうがよいと思います。

「リーンキャンバス」は、こちらも日本では2012年に出された本「ランニング・リーン 実践リーンスタートアップ」amazonで見る) のビジネスモデルです。
「リーンスタートアップ」の考え方をもとに、「ビジネスモデルキャンバス」を加工したもので、「リーン」は、無駄がない、とくに時間の無駄をなくすという意味です。 MIT(マサチューセッツ工科大学)で、トヨタ生産方式を研究して一般化した「リーン生産方式」のリーンからきています。

「ビジネスモデルキャンバス」も「ビジネスモデルYOU」も「リーンスタートアップ」も、それぞれ9つの項目から成り立っています。

今回は、それらのポイントをざっくりと説明します。

まず「ビジネスモデルキャンバス」ですが、9つの項目は、大きく次の3つに分かれます。
考える順番は、1)2)3)です。
1)誰に、どんな価値を、どうやって提供するのか? 結果、いくら得られるか?
2)提供に必要な資源とコストは?
3)提供のための活動は?

事業の場合、まず考えるべきなのは、
「顧客は誰なのか?」「顧客はどんなニーズを満たしてほしいのか?」です。

これに対して、「ビジネスモデルYOU」の場合は、まず「私はどんな人?」かについて探り、それに基づきビジネスモデルを描くという順番です。

1)自分の関心、能力・スキル、協力者は?
2)誰のためになりたいか(顧客)?
3)どう関わりたいか? 何を得たいのか?

「リーンキャンバス」も、9項目なのですが、ここで最優先するのは「課題」です。
1)どんな課題を、誰がもっているのか?
2)その課題に対して、自分がもっているUVPは?(UVP=Unique Value Proposition=ユニークな価値の提案)
3)提供する仕組み

「ビジネスモデルキャンバス」「ビジネスモデルYOU」「リーンキャンバス」の3つをまとめると、いずれも重要なのは、「顧客」「自分・商品(サービス・価値)」「仕組み」です。平たく言えば、誰に、何を、どう提供するかです。

この「どう提供するか」において、インターネットというインフラが、もっと使えるのではないかと思っています。あなたのビジネス、仕事、活動で考えてみてください。