近況&企業の売上とGDP
経営コンサルタントの仕事は、10月は、7日から21日のあいだで、9泊12日(=3泊4日×3回)の旅をし、東北から九州まで6カ所の銀行の店舗に伺い、さまざまな経営者のご相談を受けていました。
ここ数カ月でご相談を受けた企業数は99社。1社2名(たとえば先代と後継社長、あるいは、社長と専務)で来られる先も少なくないので、100名以上の方とお会いしたことになります。
相談内容で多いのは、なんといっても売上確保・売上拡大と資金調達に関するものです。
多くの企業の売上が下がっており、景気回復の兆しがまったくみえないなかで、今後どうやって売上を確保すればよいのか、というご相談と、逆に、売上は上がっていて、さらに拡大したいので、アドバイスをして欲しいというご相談です。
そして、売上が下がっているところは、新たな施策を打ったり、新たな柱をつくるための資金を、売上が上がっているところは、さらに拡大するための資金を調達したいという話になることも多いです。
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売上は、どういう業種でも下がっていますが、とくに、自動車、機械、建設、不動産、出版、印刷、人材派遣はかなり厳しいのではないかと感じます。
では、どういうところが売上が上がっているかというと、他にはない技術、真似のできないノウハウをもっているところ、提案営業のできるところ、店主・スタッフの人間的魅力で固定客をつかみ、きめ細かくフォローができているところ、インターネットをフル活用している小売、サービス、安い値段でおいしいものを食べられる外食(個人経営)などです。
お客さんにとって「そこじゃないとダメ」というところが残っている、というより、「そこじゃないとダメ」というところしか残らない、成長できないという、かなりシビアな状況です。
しかも、この「そこじゃないとダメ」というのは、もし、それを利用するのなら、たとえば、車を買うのなら「そこじゃないとダメ」(だけど、今は買わない)というのではなく、ある意味、今、必要不可欠なものです。
もはや、必要不可欠なものにしか、お金は使われません。もちろん、必要不可欠なものは、生活必需品に限られません。連絡をとったり情報を調べる携帯電話、教育や資格など将来に備えるもの、美容や健康、ストレス解消や心を満たすものなど、その人その人にとって必要不可欠なものです。
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さて、日本の実質GDP(国内総生産)は、昨年の第3四半期(7~9月)から、ずっと前年同期比マイナスが続いています。
GDPというのは、国内の経済活動で生み出された付加価値の総額です。付加価値というのは、平たく言うと利益(売上-経費=利益)です。
マイナスが続いているということは、つまり、利益が減っているということです。
そして、GDPつまり利益は、給与として働く人に、また、株の配当として株主に支払われ、支払われたお金は、受け取った人(働く人、株主)によって使われます。この、GDP=「生産=分配=支出」を、「三面等価の原則」というのですが、それが減っているということは、給与や配当などの分け前が減って、使うお金も減っているということです。
会社の利益が出ないと、人が解雇されたり、給与が下がって、その結果、人はお金を使わなく(使えなく)なる、お金を使わない=物が売れないので、会社の利益が出ない。会社の利益が出ないと、・・・と、悪循環しているのです。
皆がお金を使えばいいのですが、こんな不安な世の中に使えるわけがありません。だから、悪循環(負のスパイラル)は続き、当分、景気回復はしないのではないかと、私は思います。3年、5年、下手すると10年は氷河期という意見もありますが、あながち大袈裟でもないと感じるのです。
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まあ、しかし、手を拱いていてもしょうがない。というわけで、中小企業同士を結びつけるサイトを10月にオープンし、イベントを11月に開催します。これに関しては、次回、書きます。