夫と妻のズレは「他部署」と「同僚」のズレ
前回、「妻からのオファーがない」という夫の話を書きましたが、夫婦の怒りの相談は、以前から多々あります。前回のケースのように、「夫が家のことをしない」という、妻の怒りは、ほぼ『定番』です。
それが、最近、在宅勤務で夫婦が一緒にいる時間が長くなり、これまである意味、妻の怒りから逃げてきた夫が、真正面から妻の怒りを浴び、自らも怒り出しているという状況が見られます。
今回は、この夫婦の怒りに関して、なぜそういうことになるのか、書きたいと思います。
ちなみに、夫婦が逆の状況の場合もありますが、今回は、『定番』のケースで書きます。
妻の主張は、「私が忙しくしているのに、夫はテレビを視ている」「スマホのゲームをやっている」「のうのうとお茶を飲んでいる」など、「そこにいるのに、何もしない」というものです。
一方で、夫の主張は、「何もしていないわけではない」「できることはやっている」「そもそも何も頼まれていない」で、さらに「妻がいつも不機嫌」「文句と愚痴ばかり聞かされ、気が滅入る」などです。
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妻はなぜ怒っているのか?
それは、家の仕事において、夫を、会社の仕事で例えると、「同じ部署で、同じ仕事をしている同僚」だと位置づけているからです。
仕事は2人で担当しているので、量を半々にするなど、不公平にならないようにするのが基本。そのときの互いの状況によっては、分担を変えて、カバーし合うというイメージです。
しかしながら、2人で担当しているはずなのに、相手(夫)が担当の分をやらず、仕方なく自分(妻)がやっている。不公平な状況になっている。
相手が「手伝うよ」などと言っても、「そもそもあなたの仕事ですけど」「他人事のような態度が許せない」「しかも、少しだけやっては偉そうにし、後は放置」という話です。
これに対して、夫は、家の仕事は、基本的に「他部署の仕事」「同じ部署でも、自分の担当ではない仕事」だと思っています。
そのため、具体的な協力要請がないと、動きません(動けません)。
他部署の人、違う仕事の担当の人が、どんなに忙しそうにしていても、「大変だね」と思うだけです。「何もしない」ととがめられても、「何も頼まれていないのに?」「なぜ不機嫌になるの?」と感じるわけなのです。
会社で、部署横断のプロジェクトを行なう場合、同じプロジェクト担当でも、営業の人は営業を担当し、企画の人は企画を担当するのが一般的で、「日ごろやっていない仕事」は、プロジェクトリーダーか誰かに言われないかぎりやることはありません。
夫にとっての家の仕事は、そういう範疇だったりするのです。
お互いに、この意識の違いをまずは理解する必要があります。
その後、改めて、担当量の割合や担当業務を明確にし、場合によっては、仕事の合理化を図るとよいでしょう。