シングルマザーの収入が低いのは?

今日、テレビのニュースのなかで、シングルマザーに関するミニ特集をやっていたんですが、コメンテーターの発言に対して、ちょっと違うのじゃないかな、と思うことがありました。

コメンテーターは、シングルマザーの収入が低いのは、専門能力に乏しいから、何らかの技術を身に着ければいいと言ってたんですが、そうではないケースも多いです。

私は、厚労省の委託事業で、シングルマザーにたくさん会っていますが、たとえば、英語とフランス語の通訳をやっていた、研究者として研究所で働いていた、専門技術をもつ技術者として活躍していた、経理のスペシャリストだったなどという、専門能力をもつ方は少なくありません。

能力を活かす場所がない

むしろ、地域に、この方たちの専門能力を活かす職場がないのです。とくに都会で働いていて、離婚をきっかけに戻って来られた方。

専門能力に乏しくはないのです。むしろ、いわゆる「オーバースペック(過剰性能)」。その方がいる環境で、その専門能力が求められていない。それで、仕方なく、比較的誰でもできる単価の低い仕事をやっている、それしか仕事がないので。しかも、よくない条件で。

たとえていうと、イチローが、野球の能力を活かせず、単純作業をやっていて、それに対して、もっと何らかの技術を身につけましょうと言っているようなものです。

じゃあ、専門技術をもつシングルマザーは、元いた場所に戻ればいいというのも難しいのです。そもそも勤務時間や働き方的に無理が生じて、離れざるを得なかった。そして、いったん組織を離れると、良い条件どころか、同じ条件でも戻ることは難しい。

自営業者としてやっていく壁

こういう場合、理想的なのは、新たに自営業者として、自分の高い能力を提供できる仕組みを構築したほうがよいのです。
しかし、ネックになるのが、自営業者としてやっていくためには、専門能力以外の、経営能力や営業力が求められること。机上の空論でないマーケティング力、ブランディング力も。

このあたりの能力は、起業しようと思っていた人以外、身に着ける機会はほとんどなかったと思います。普通の学校では教えていない。もっといえば、MBA(経営学修士)をもっている人でも、実際に地域でやっていくのは難しかったりします。

思うに、シングルマザーに関わらず、自分の専門能力を安売りせず、適正に提供するための能力が、これからの時代はより重要になるでしょう。
そして、シングルマザーもそうですが、介護や病気、出産ほか、何らかの理由で、一度組織を離れた人たちが、能力を十分に発揮できるようにしたいと思っています。

この前、ツナグバの理念、ビジョン、コア・バリューなどを新たに考えました。
これからツナグバで何をするのかに関して、今度、書きます。