高市氏勝利で思うこと

「変化を求める力」が動かした日米の選挙

以前、「トランプ氏勝利で思うこと」(2016年)、「トランプ氏勝利で思うこと2」(2016年)、「トランプ氏勝利で思うこと2024年」というブログを書きました。
今回の高市氏勝利は、それと似ていると感じます。

トランプ氏勝利は、「変化を求める人たちのパワー」が勝因だということを、ブログに書きましたが、高市氏勝利も、同様に、この「変化を求める人たちのパワー」が勝因だと思います。

トランプ氏の場合、40代以上、白人男性がその主体で、かつての「強いアメリカを取り戻す」ことへの期待が、対戦相手のヒラリー氏を破る結果となりました。

2024年も、白人男性がトランプ氏を支持しています。
対戦相手は、バイデン氏から急遽ハリス氏になりましたが、ハリス氏はトランプ氏を非難するだけで、肝心の政策(経済、雇用、移民対策等)が不明瞭で、有権者の失望につながったのが敗因でもありました。

ヒラリー氏もハリス氏も、トランプ氏に比べると「変わらない=良くならない」印象を与えたのと、2024年はとくにSNSが後押しした形です。

若年層が動かした「日本の変化」

トランプ氏(アメリカの大統領選挙)が、国民投票(選挙人による間接選挙)であるのに対して、高市氏(日本の内閣総理大臣の選挙)は、国会の指名であるところは違います。

しかし、「変化を求める人たち(国民)のパワー」が自民党員を動かし、麻生氏を通じて議員を動かしたと思います。

高市氏の場合の「変化を求める人たち」は、18~39歳の若年層の男女と、次に、40~59歳の男女が主体です。

若年層は、「かつての日本」の恩恵は受けていません。最初から「失われた日本」でした。経済が停滞し、賃金も期待できない。社会保険料、税金は高く、物価は上昇する一方。移民の問題もある。ますます失われる日本に歯止めをかけてほしいという切なる願いでした。

「変わらない政治」へのNOが示す時代の転換点

それ故、自民党は、裏金問題で衆院選、都議選で敗れ、物価高なのに減税には消極的なことから参院選で敗れ、小泉氏では高市氏よりも「変わらない=良くならない」と、多くの国民に感じさせ、自民党員に危機感を抱かせたはずです。

野党は一本化できず、高市氏のような強いメッセージを(各党は出していたものの)まとまっては出せませんでした。

高市氏の支持率が、各メディアの調査で出ており、60~70%となっています。
読売新聞社の調査では、年代別、男女別、地域別、石破内閣(9月調査)との比較も出ていて、興味深いです。

高市支持が映す「希望への転換」

高市氏の全体での支持率が71%(石破内閣は34%)であるのに対して、18~39歳は80%(同15%)、40~59歳は75%(同29%)、60歳以上が63%(同50%)で、若年層の支持率が高くなっています。

男女別は男性71%(石破内閣30%)、女性72%(同37%)と変わりません。

支持する理由(上位3つ)は、「政策に期待できる」が41%、「他によい人がいない」が20%、「首相に指導力がある」が15%です。
一方、不支持理由(上位3つ)は、「自民党中心の政権だから」(28%)、「政策に期待できない」(19%)、「首相が信頼できない」(18%)でした。

高市氏は、「未来への不安を希望と夢に変え、強い経済をつくる」ことを打ち出しており、国民は、アメリカのトランプ氏のときと同様、日本が「変わること」「良くなること」を期待しています。

政党支持率は、7月のNHKの調査では、全体で、多い順から、「特になし」29.6%、「自民」29.4%、「国民」7.1%、「立民」6.9%、「参政」6.8%、「わからない・無回答」5.5%、「共産」3.4%、「維新」3.2%、「公明」2.9%、「れいわ」2.4%、「保守」1.6%、「みらい」0.6%、「社民」「その他の政治団体」0.4%でした。

18~39歳は、「特になし」23.4%、「国民」19.4%、「参政」16.1%、「自民」「わからない・無回答」10.5%、「維新」4.8%、「共産」4.0%、「立民」「公明」2.4%、「れいわ」「保守」「みらい」「その他の政治団体」1.6%、「社民」―の順です。

少なくとも7月の時点では、若年層は、「自民」よりも「国民」「参政」を支持していました。それゆえ、自民党ではなく高市氏に期待しているのです。

高市氏の勝利は、国民が「変わらない政治」に見切りをつけ、「未来を変えたい」という意思を示した出来事だと思います。
その意思と期待を、高市政権がどう形にできるかが問われています。