結党から9カ月の「チームみらい」は、なぜこれほど躍進したのか?

ネットでは「怪しい」「裏がある」という声も

今回の衆議院選挙では、高市旋風のもと、多くの野党が議席を失うなか、チームみらいは14人の候補者を立て、11人が当選しています。なんと78.57%、約8割です。

そのため、ネットでは、下記のような「何か裏があるのでは?」という声や噂話が出ています。

  • SNSでそこまでバズっておらず、選挙カーも見かけなかった。演説も見ていない。不思議だ
  • 東京中心に活動していたはずなのに、地方の高齢者が入れているらしい。AIやITを掲げ、若者の活躍をうたっているのに、高齢者? 怪しすぎる
  • テレビが取り上げたので、高齢者が入れたのか?
  • 消費税減税を掲げていなかったので、消費税を減税すると社会保障が危うくなると考える人たちが入れたのでは?
  • むしろ、社会保障が危うくならない党として、高齢者に入れさせた?
  • みらいは平仮名だから、高齢者が書きやすかった?
  • 同じ平仮名の「れいわ」の票を「みらい」と間違って(あるいは不正で)区分けしたのでは?
  • 投票所が怪しい
  • 〇〇さん(有名人)が立役者らしい
  • △△さん(有名人)の会社が陰で動いていたらしい

等々

チームみらいはどんな政党?

そもそもチームみらいとはどんな政党なのでしょうか?

党首は、AIエンジニアで作家の安野貴博氏(35歳)で、同氏が、2025年5月に結党した、とても新しい政党です。

基本スタンスは、「テクノロジー(AI・デジタル)」を政治・行政に積極活用するということです。
未来への成長投資として、教育・AI・ロボティクス・自動運転など新産業の育成、そのための基礎研究や大学の支援を掲げています。

また、行政サービスのDX化(DX=デジタルトランスフォーメーション=デジタル技術を活用してより良いものにする取り組み全般)、国民の意見をAIで可視化し政治に反映する仕組みづくりなど、新しい政治参加の仕組みも掲げています。

要は、テクノロジーで、国をよくしようということです。

今回、当選した人たちは、30~40代で、AI・IT・DX・経済の経験者、専門家です。

勝因として考えられるのは?

勝因として言われているのは下記のことです。

  • 多くの政党が「消費税廃止・減税」を訴えるなか、「社会保険料の引き下げ」「右でも左でもない未来志向」というメッセージが、既存政党に魅力を感じない層に刺さったのでは?
  • 「高市派 対 反高市派」ということに疲弊していた無党派層の支持を集めたのでは?
  • 「テクノロジー、AI」という、他党にない切り口が、一定の人たちに強く刺さったのでは?

「社会保険料の引き下げ」は、以前から維新も強く訴えていましたが、今回は「高市派」としての印象が強かったという意見もあります。
また、与党、保守派の野党や、反対勢力としての野党に魅力を感じない人たちの受け皿になったという声もあります。

しかし、どうやら、これまでの「選挙カーや演説」「団体の支持」「地域との関係(2世、3世議員)」、最近の「SNSで目立たせる」とは違った動きも注目されています。

それが、規模は小さくても、強力な「党員、サポーター」ということらしいのです。

AI、テクノロジーを切り口に、技術者、若い専門職、技術系の学生といった、これまで政治にそれほど関心をもたず、どちらかといえば自分の仕事、研究に打ち込んでいたタイプの人たちを取り込んだことが勝因とも言われています。

SNSでバズることよりも、コミュニティをつくり、それを強固にしていくことに力を入れ、濃い支持者を得られたということらしいのです。
もしこれが事実だとすれば、今回の選挙は「SNSで目立った党が勝つ」という、最近の常識が崩れた可能性もあります。

「テクノロジーで、国をよくする」「テクノロジー(AI・デジタル)を政治・行政に積極活用する」ということは、自分たち技術者、専門職、学生の「AI、ITの仕事が拡大する」「活躍の場が拡がる」ということだよね。それは魅力的。
それと比較すると、他党の政策はファジーに感じられる。これ、仲間にも知らせたほうがいいかもということのようです。

職業型の支持ではあるのですが、労働組合的な、企業、組織一丸となってみんなで応援しよう、声を上げようというものではありません。表面上はまったく盛り上がっている様子はないけれども、個々人が自らの意思で静かに投票しているというところがポイントです。

つまり、表面上の盛り上がりとは別のところで、静かな支持が積み上がっていたということです。

「参政党」と比較してみる

今回、同じく議員を増やした「参政党」と比較してみます。
参政党も戦略的に動いています。

参政党は、地方の支部づくり、勉強会・街頭活動に力を入れています。
長期的に考え、小さな地方選を積み重ね、候補者を地道に育てる、支持者を確実に増やす、根を張る、定着させることを考えています。
支持を集めているのは、「日本人ファースト」で国を守るという価値観(国家観、歴史観、教育観)に共鳴する人たちです。

思想に基づき、地域でのリアルな活動を通じて、人間関係での結束を図る。長期を見据えて、草の根的に育てていくというのは、政治活動の王道ではあります。けれども、SNSや動画も使う、いわばハイブリッド型です。

チームみらいは、他党とは一線を画する「技術系の仕事」という実益も踏まえたテーマで、オンラインコミュニティで、一気に専門層を取り込んだようです。

参政党が「草の根ネットワーク型」であるのに対して、チームみらいは、「スタートアップ型」と言えるかもしれません。

参政党は、外食で例えると「堅実なチェーン」のようなものなので、これからも着々と伸ばすことが出来そうです。
尖った部分(強い思想カラー)が目立ちすぎると、取り込めない人たち、反発する人たちもいる一方で、尖った部分を緩やかにしすぎると、コアな人たちが離れていく危険性もあります。

チームみらいは、参政党のように人間関係で結びついているわけではないので、人間関係で縛られるのが嫌な人たちも取り込める反面、実績が伴わないと、今取り込んでいる人たちの「支持を失う」というよりも「政治への関心そのものを失う」可能性もあります。

今回のチームみらいの当選者たちは、既存の政治経験者ではなく、技術系の専門家が中心なので、その人たちが新しい旋風として、高市政権で活躍し、着々と実績を積み上げていくのか、既存の政治家たちの「泥臭さ」のなかで、輝きを失うのか、注目したいところであります。

今回の選挙は、一つの政党の勝利というより、日本の政治参加の形が少し変わり始めている兆しかもしれません。
表に見える熱狂や話題性だけでなく、テーマでつながった人たちが静かに動く。そのような政治の形が今後広がるのかどうか。チームみらいの今後の動きは、日本の政治の方向性を占う一つの試金石になるのかもしれません。