| マネジメントコンサルタント、川嵜昌子のサイト https://masakokawasaki.com セルフマネジメント&チームマネジメント|川嵜昌子 Wed, 27 Mar 2024 15:51:21 +0000 ja hourly 1 https://wordpress.org/?v=6.4.3 https://masakokawasaki.com/wp/wp/wp-content/uploads/2020/02/cropped-m-32x32.jpg | マネジメントコンサルタント、川嵜昌子のサイト https://masakokawasaki.com 32 32 チャレンジングか守りか、4タイプの簡単診断をつくりました https://masakokawasaki.com/2024/03/n4670 Wed, 27 Mar 2024 14:53:40 +0000 https://masakokawasaki.com/?p=4670

先日、私のアンガーマネジメントのセミナーにいらした方は、この4月から管理職になられるので、拙著「アンガーマネジメント管理職の教科書」を読まれたとのことでした。

そして、経営者向けはどう違うのだろうと、「アンガーマネジメント経営者の教科書」も読まれ、セルフマネジメントも大切だと「自分をサクサク動かすセルフマネジメント」も読まれたとのことでした。

その際、拙著の電子版は、Kindle Unlimited ¥0 になっていて、(Kindle Unlimited会員は)無料で読めるとのことでした(知りませんでした。笑)。拙著の紙版と電子版はじつは出版社が違っていて、電子版は昨年出ています(電子版は、「女性のためのアンガーマネジメント」以外の3冊で、中身は紙版と同じです)。→ Amazonの川嵜のページ

自分と違うタイプには、お互いイライラしやすい

さて、この方は、「アンガーマネジメント管理職の教科書」で、ビジネスパーソンのタイプが違うことによる怒り(CHAPTER7)に、とても共感されたとのことでした。

ここ(CHAPTER7)で書いているのは、新しいことにどんどんチャレンジするタイプか、逆に、これまでの伝統を守っていくタイプか、大きく4つに分けたタイプの解説です。

  1. ファーストペンギンタイプ
    ファーストペンギンとは、集団で行動するペンギンの群れの中から、天敵がいるかもしれない海へ、魚を求めて最初に飛び込むペンギン。つまり、リスクを恐れず(考えず)、新しいことにチャレンジするタイプ。無謀と思われることもあります。
  2. リーダータイプ(セカンドペンギンタイプ)
    ファーストペンギンに続くタイプ。人を率い、目標に向かってチャレンジするタイプで、ファーストペンギンタイプよりも、長期的な視点で取り組みます。
  3. マネジャータイプ
    現状を改善し、安定的に回していくタイプ。安定期の企業、組織で求められる人材で、秩序が乱れることを嫌います。
  4. リスクヘッジタイプ
    リスクを回避し、徹底させ、伝統を守ろうとするタイプ。いわゆるお堅い業界、お堅い職業に多いタイプです。変化を好みません。

1が最もチャレンジングで、2がその次、3はチャレンジより守りが高まり、4が最も守り度が高いです。

どのタイプがよい、悪いということはありませんが、企業の成長ステージや、業種、職種における向き、不向きはあります。タイプによって、仕事へのあり方、仕事の進め方が大きく変わります。

私が以前働いていた会社は、ベンチャー企業だったので、ファーストペンギンタイプばかりで(自分もこのタイプ)、リスクヘッジタイプの人はほぼいませんでした。しかし、取引先企業、なかでも大手企業や、いわゆるお堅い業界には、マネジャータイプ、リスクヘッジタイプが多く、違いを感じました。

基本的に、直属の上司や部下、同僚が、自分と同じタイプだと働きやすく、逆に違うタイプだと、お互いイライラすることが多いです。
そして、自分が働いている会社、組織の多数派、主流派(社風、組織風土)が、自分と同じタイプのほうが認められやすく、活躍できます。違うタイプの人が多数派、主流派だと、自分がその仕事において、かなりのプロフェッショナルでもないと、厳しい環境になります。
まあ、しかし、企業全体でいうと、いろいろなタイプがいて、お互い認め合える環境のほうが、経営的に強いと思います。

ということで、タイプが分かる簡単診断を作ってみたので、ご自身やまわりの方で試してみてください。お互いのタイプが分かっていると、仕事がしやすいと思います。メアド登録等は不要で、すぐに結果が分かるようになっています。

そして、このタイプとは別のタイプの分け方診断も、現在、考え中です。そのタイプの違いも、仕事へのあり方、仕事の進め方が全然違って、怒りにつながると思います。

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長年使っていたデスクトップPCを買い替えました https://masakokawasaki.com/2024/03/n4636 Mon, 25 Mar 2024 12:53:12 +0000 https://masakokawasaki.com/?p=4636
左:旧PC 右:新PC

メインマシンとして使っているデスクトップPCを、ついに買い替えました!
購入したのは、2012年7月なので、約12年間も使っていました!

PCは、3~5年が買い替えの目安となっていて、ノートPC、タブレットはだいたいそんな感じで買い替えていますし、スマホは2年で買い替えているのですが、デスクトップのメインマシンを替えるのは(Windowsは)面倒だし、なんといっても壊れなかったので。

調子が悪くなったりもしたのですが、ソフト&ハードの掃除で、元に戻っていました。要らないファイルを消したり、PCのフタを開けてホコリをとったりすると、復活して、Adobeのソフトなどでも困ることなく動いていました。

正常に動作していたのですが、今回買い換えたのは、Win11が乗らないようなので(Win10は乗っている)、今後のことを考えて、新しいマシンにしました。

これまでのマシン → 新しいマシン
CPU:Core i7 3世代 → Core i7 14世代
OS:Win10(購入時はWin7)→ Win11
メモリ:16GB → 32GB
ストレージ:1TB HDD → 1TB SSD
ドライブ:DVD → なし

どちらも、メーカーはマウスコンピューターで、これまでのPCもハイスペックではあったのですが、CPUは、さすがに古くなっています(それでも、頑張って働いていましたが)。

以前働いていた会社で、部署のデスクトップマシンとして、マウスコンピューターのマシンを使っていましたが、トラブルもなくサクサク動いていました。ですので、私のマウスコンピューターへの信頼度は高いです。

これまで私が使っていたマシンは、冷蔵庫のように、ほぼ電源を切ることはなく、使わないときはスリープ状態にしていましたが、全然壊れませんでした。
このマシンには、日々、仕事等に付き合ってもらって、本当に感謝の気持ちで一杯です。

買ったときは、ディスプレイ、キーボードの色と揃えて、白いケースにしたつもりが、黒で驚きましたが(自分が黒を指定していた)、12年間もガンガン働いてくれました。
そして、新たなマシンも静かに働いています(これまでのPCも全然うるさくはありませんでしたが。今回、白いケースにしようと思ったけれども、このタイプにはありませんでした)。

このPC用のディスプレイですが、じつはPCよりも古く、2011年に買った三菱のダイヤモンドクリスタです。
三菱は、液晶事業から撤退してしまいましたが、このディスプレイは、ノングレアだし、スピーカーもついているし、HDMI、D-Sub、DVIと3つ対応しているし、何よりも美しいままなので、今は買い替えなくてもよいかなと思います。

いずれにしても、これまでのPC、ありがとう!

(左上:美しいダイヤモンドクリスタ。PCには、神田明神の「IT情報安全祈願」シールを貼っていた。おかげで無事に終了。右上:Win11が乗らない。下:PCは下取りに出すので、初期化して、新しいPCの箱に入れる。明日、宅配便が引き取りに来る)

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怒りっぽい人だけの謎の現象 https://masakokawasaki.com/2024/02/n4539 https://masakokawasaki.com/2024/02/n4539#comments Sun, 25 Feb 2024 14:52:24 +0000 https://masakokawasaki.com/?p=4539

今日は、毎月開催している英語論文を読む会「Aiジャーナルクラブ」でした。
持ち回り担当制で、担当は自分が読みたい論文を選びます。今回は私の担当で、「怒り」に関する論文にしました。

論文のタイトルは、「危険に引き寄せられる:怒りの形質は怒った顔への自動的な接近行動を予測する(Drawn to danger: trait anger predicts automatic approach behaviour to angry faces)」というものです。

平たく言うと、「怒りっぽい人は、怒った顔に近づいていく」という、謎の特徴をもつというものです。
なぜ謎なのかというと、ほとんどの人は、幸せな表情の人には近づいても、怒った表情の人からは身を引くという傾向があるからです。この傾向は、人間以外の動物にもあるとのことです。
怒っている様子、動物でも、威嚇的、敵対的な様子の相手に近づくのは危険だと感じて、自動的に後ずさりするのです。

しかしながら、怒りっぽい人は、逆に怒っている相手、敵対的な様子の相手に近づいていく傾向があるのではないかというのを、実験で試してみたという論文です。

学生に写真を見せ反応を測定する

大学生に、4パターンの写真、1)幸せそうでこちらを向いている顔、2)幸せそうでこちらを向いていない顔、3)怒っていてこちらを向いている顔、4)怒っていてこちらを向いていない顔を見せて、ジョイスティックでそれらの写真を近づける、あるいは遠ざける反応のどちらをするかと、反応の時間を測定します。
実験が終わった後、それぞれの学生が怒りっぽい性格かどうかの検査もします。

その結果、怒りっぽくない人は、怒っていてこちらを向いている顔に対しては、遠ざける反応をしたのに、怒りっぽい人は、近づける反応をしたことが分かりました。

これまでの論文での実験では、怒りっぽい人は、怒った顔に対する反応が速いというのは分かっていたのですが、近づくかどうかは示されていませんでした。

今回の実験では、近づくという謎の傾向は分かったものの、その理由は明らかになっていません。

自分なりの仮説

そこで、自分なりにそうなる可能性を探ってみました。

まず、前提として、日常の場面で、誰かから怒った顔を向けられた場合の一般的な反応ですが、楽しいとか嬉しいとかプラスにはならず、マイナスの反応になると思います。
そのマイナスは、恐怖、戸惑い、不安の場合もあれば、怒りの場合もあります。

恐怖は、相手が強そうな場合、上の立場、大切な相手の場合、仕事であれば、上司や得意先に対して感じやすいと思います。「わっ、怒らせた、まずい」という気持ちです。

そして、戸惑い、不安は、怒りっぽくない人は、同じ立場、下の立場、弱そうな相手に感じると思います。友人や家族、同僚や部下に対して、「えっ、なんで怒っているの?(戸惑い)」「なにか怒らせることした?(不安)」という気持ちです。

しかし、怒りっぽい人は、同じ立場、下の立場、弱そうな相手の場合、相手から喧嘩を売られていると思い、「なんか文句あんのか?」「ガンつけてる?」と喧嘩を買う、怒りで返すことになりやすいのではないでしょうか?

つまり、怒りっぽい人の場合、相手が自分より強くも偉くもないのに、喧嘩を売っているのが気に食わないので、叩きのめしてやれということになって、近づいていくのではないでしょうか?
あくまでも私の考え、仮説ですが。

ーーー

アンガーマネジメント的には、怒りには、自分を守るという機能、役割があります。
怒りっぽい人は、自分を守ろうとする気持ちが強いわけなのですが、その場合、脅威(と思われる事柄)に過敏に反応し、「やられる前にやる」という好戦的な態度につながることがあります。
このあたりが関係しているのではないでしょうか?

さて、この論文では、理由に関しては、「今後の研究が必要である」としています。
そして、今回の怒りっぽい人が脅威に近づく傾向は、アンガーマネジメントのトレーニングで減少させることができるのではないかとも書いてあります。

ーーー

ツナグバサンカクのWebサイトに、ジャーナルクラブの魅力についても原稿を書いていますので、そちらもどうぞ → 最初は「論文?」と思ったけれども、かなり楽しい、英語論文を読む会「ジャーナルクラブ」

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https://masakokawasaki.com/2024/02/n4539/feed 1
カスハラ防止とアンガーマネジメント https://masakokawasaki.com/2024/02/n4522 Fri, 23 Feb 2024 02:36:41 +0000 https://masakokawasaki.com/?p=4522

カスハラ防止の動きと、そもそもカスハラって何?

先日(2月20日)、東京都議会で、カスタマーハラスメント(カスハラ)防止に向けた条例を制定する方針が示されました。また、同日、北海道議会でも、最大会派の自民党道民会議が、同じく同条例の制定を目指した検討部会を設置したと発表しました。

そもそもカスタマーハラスメント(カスハラ)とは何か?

厚生労働省の「カスタマーハラスメント対策企業マニュアル」によれば、以下のようなものと考えられています。

顧客等からのクレーム・言動のうち、当該クレーム・言動の要求の内容の妥当性に照らして、当該要求を実現するための手段・態様が社会通念上不相当なものであって、当該手段・態様により、労働者の就業環境が害されるもの

つまり、顧客や取引先のクレームのなかでも「不当・悪質なクレーム」を指します。

東京都が考えている防止のための条例は、カスハラの具体例をガイドラインで示し、行き過ぎた行為は従来の刑法で取り締まることができるので、罰則は設けないとのことです。カスハラについての認識を高め、注意を促すことが目的と考えられます。

ちなみに、悪質なカスハラは、暴行、傷害、脅迫、恐喝、中傷、名誉棄損、侮辱、強要、威力業務妨害、不退去などの犯罪行為となります。

企業に求められる、カスハラ防止対策

企業においては、現在のところ、セクハラ、パワハラ、マタハラのような法律上の定義はないものの、「安全配慮義務」(労働契約法5条)にもとづき、従業員に対し、生命・身体などの安全を確保しつつ労働ができるよう配慮することが求められています。
そのため、従業員を脅かす「不当・悪質なクレーム=カスタマーハラスメント(カスハラ)」の対策を行なう必要があります。

先ほどの「カスタマーハラスメント対策企業マニュアル」には、具体的なカスハラの例や対策の必要性、対策方法などが掲載されています。

カスハラは、相手がお客様であり、企業にとって判断や対応が難しい面はありますが、適切に対応しないと、従業員や企業にマイナスの影響を与えます。
職場の心理的安全性が低下し、従業員の精神疾患、離職につながりますし、顧客や取引先との関係が不健全なものになると、企業経営に悪影響を及ぼします。

カスハラ防止のためには、企業の経営陣が人権意識を持ち、企業・組織として対応する必要があります。クレーム対応と合わせて対応ルールを作り、ロールプレイングを行ない、それに従って現場で管理職担当部署(法務、総務等)と連携して対応します。
現場でのケースに加えて、ネットへの書き込みでのクレーム対応、カスハラ対応もルール化しておくとよいでしょう。

アンガーマネジメントを活用しよう

そして、従業員向けに、そもそもなぜカスハラが起きるのか、「怒り」や「アンガーマネジメント」の観点から顧客の心理を知り、適切な対応方法を知る研修も行なうとよいでしょう。
とくに、カスハラで行き過ぎた行為になる前に、顧客の怒りに適切に対応し、怒りを拡大させないようにすることが大切です。

私が所属している日本アンガーマネジメント協会では、3年ほど前から「カスタマーハラスメント防止」の研修に力を入れています。さらに、以前から、顧客対応におけるアンガーマネジメントの方法も伝えており、私も研修を行なっています(川嵜のアンガーマネジメントの研修は→ こちら)。

ちなみに、次のような心理が強く働くとカスハラにつながります。

  • 自分はお客様であり、立場的に上。尊重されるべき(認められたい)
  • (常連客)自分は特別なお客様であり、特別扱いされるべき(優越感を得たい)
  • 自分が正しく、相手が間違っている
  • (たとえ正しいことの説明であっても)恥をかかせられたくない(プライド)
  • 強く言わないと(怒らないと)分からない
  • 強く言わないと(怒らないと)舐められる(威厳が示せない)

カスハラは、基本的に「自分は上の立場なのに、軽く扱われた」という気持ちから来ています。また、「相手は下の立場なのだから、自分の言うことを聞くべき」と思っているのに、相手に違うこと(正しい説明だったりする)を(偉そうに)言われ「恥をかかされた(プライドを傷つけられた)」と腹を立てられたり、日ごろの不満を八つ当たりされたりすることも多いです。

ストレスが多い現代、誰もがカスハラの加害者にも被害者にもなる可能性があり、カスハラにつながらないための対応、屈しないための対策が求められています。

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情報の信ぴょう性について思うこと https://masakokawasaki.com/2024/02/n4509 Mon, 05 Feb 2024 13:06:52 +0000 https://masakokawasaki.com/?p=4509

NHKのドキュメンタリー番組を見ながら、これまでの歴史的な事実を踏まえたうえで、それぞれの現地を訪れ、さまざまな立場の人への取材を行なっており、それらの一次情報(本人が直接体験した情報)は、なかなか説得力が高いと感じました。

マスコミの場合、一次情報であっても、ファクトチェック(事実確認)エビデンス(根拠)の確認、いわゆる「裏を取る」ことが必要で、この精度がプロたる所以だと思うのですが、手間と時間がかかりますし、チェックする人の見識が必要とされます。
SNSの時代だからこそ、信ぴょう性のある、プロの情報は価値が高いと思います。

偽情報合戦

イスラエルの新聞「ハアレツ」に、イスラエルとハマスによって、偽情報合戦が行なわれていることが書かれていました。
それによると、ハマスがイスラエルを襲撃した10月7日の件も、それ以外に関しても、誤った情報、フェイクニュースが、意図的に流されているようです。

偽情報と言えば、湾岸戦争のきっかけとなったのは、アメリカの偽情報、クウェートの少女、ナイラ証言でした。
これは、ナイラという少女がアメリカの議会で、イラク兵が新生児を投げ捨てたと語り、イラクの残虐性を許してはいけないという世論が高まり、湾岸戦争になりました。
けれども、ナイラはPR会社が仕組んだやらせだということが、後で分かりました。

偽情報による戦争プロパガンダは、第一次世界大戦でもなされており、おそらくもっと昔から行なわれてきたと思います。

ハアレツによれば、イスラエルとハマスによる偽情報合戦は手が込んでいるため、実際のジャーナリスト、報道機関も知らないうちに巻き込まれてしまっていることがあるようです。
ハアレツ自体、ハアレツの記事を拡大解釈したり、独自に解釈した、誤解を招く情報がSNSに流されたりもしているとのことです。

身近な偽情報にも注意

戦争プロパガンダでなくても、意図的か誤解か、人が陥れられてしまうような偽情報が流れることもあります。
組織などで、人を失脚させる意図から偽情報や誤解を生む情報が流されることもあります。
身近な人の場合は、本人に確認したほうがよいでしょう。

身近な人に関係しない情報、SNS、マスコミの情報は、私たちとしては、せめて情報の出所を確認して、事実なのか、根拠はあるのか、意見なのか、意見であれば、その人はどういう立場の人なのかを知ることが必要だと思います。

あと、いろいろな情報を比べてみるのもいいかと思います。
私も、イスラエルとパレスチナの情報に関しては、さまざまな情報発信源を確認しています。
ハアレツ、アルジャジーラ、BBC、イスラエル国防軍のサイトや、イスラエル人とパレスチナ人のジャーナリストグループによるウェブマガジン「+972マガジン」などを見ています。

人は事実かどうかよりも、自分の信じることと合致しているかも含めて、その情報が愉快かどうかで、情報を取捨選択する側面もあるので、偽情報に巻き込まれないよう、気をつけたいところです。

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NHKの番組を見て分かったイスラエルの状況と思ったこと https://masakokawasaki.com/2024/02/n4496 Sun, 04 Feb 2024 21:07:53 +0000 https://masakokawasaki.com/?p=4496

先日、NHKのオンデマンドで、イスラエル、パレスチナ関係のドキュメンタリー番組を4本見ました。それらのうち1本に関してまとめました。

・クローズアップ現代 ガザと“ホロコースト生還者” 殺りくはなぜ止まないのか(1月29日放送)

10月7日のハマスによる攻撃を、イスラエルの市民は「2回目のホロコースト」と表現し、ネタニヤフ首相も「ホロコースト以来、最悪の犯罪」と語る。

けれども、ホロコースト生還者は、「国(イスラエル)は正しい道を進んでいない」と言い、故郷を追われたパレスチナ人の苦難の歴史に思いを寄せる。また、別のホロコースト生還者も「残虐な行為は自ら止めるべきだ」、望むのは「平和」だと言う。

ホロコースト研究の第一人者、モシェ・ジメルマン教授(ヘブライ大学、ユダヤ人)は、イスラエルの市民がパレスチナ人の痛みを理解しないのは、「教育を中心としたイスラエルの国家政策によるものだ」と言う。同教授は、イスラエル建国時、ホロコースト生還者は、軽蔑され、差別されていたのに、中東戦争を通し、国は「私たちは犠牲者だから、攻撃を受けたら何をしてもいい」と、ホロコーストを、攻撃を正当化する道具に変えていったと言う。

そして、国の攻撃の姿勢に対し、異論を許さない空気が拡がっている。

東京大学の鶴見太郎准教授は、イスラエルには「被害者スイッチが入ってしまった」と表現する。イスラエルは、女性にも兵役があり、国を守るという意識が叩き込まれる。また、80年代から教育でホロコーストを教えるカリキュラムが組まれている。一方で、若い世代は、イスラエルの建国時のことは知らない。

―――

先日、1月27日のホロコースト追悼の日に、生存者の子孫たちは、動画で、バイデン大統領にイスラエル政府によるパレスチナ人虐殺の終結を呼びかけています(訳したXへの投稿はこちら)。

彼らは、「Never Again for Anyone」誰にとっても、再び繰り返すことのないようにと言っています。

ナクバを知らない、イスラエルの若者

他の番組では、イスラエルとパレスチナの現状と歴史もレポートしていました。
(下記は、番組での報道からと、そうでないことの両方を書いています。)

イスラエルは1948年の建国時に、パレスチナ人に対して「ナクバ(大災害)」、すなわち、イスラエル軍によるパレスチナ人の虐殺、土地の占領を行なっています。
ナクバにより、パレスチナ人1万5000人が死に、70万人が難民となりました。

その後もイスラエルは、国際法に反し、パレスチナの土地にユダヤ人入植地を拡げていっています。

中東戦争や、イスラエルでのテロ、ハマスの誕生や今回の奇襲は、これまでイスラエルが行なってきたことからもたらされています。
しかしながら、イスラエルの若い人は、イスラエルがパレスチナ人に与えた苦難の歴史は知らず、パレスチナ人、アラブ人は怖い人たち、悪い人たち、殺さなければやられると思い込んでいるのです。それは、加害者としての側面を知らず、被害者意識だけ教育で植え付けられているからです。

ハマスのほうが古代ユダヤ人の子孫かも

若くない人たちは、これまでのいきさつを分かっていても、ネタニヤフ政権の閣僚、ニル・バルカト経済産業相が言う「パレスチナの土地などそもそもないのだ。2000年前、3000年前から、ここは唯一のユダヤ人の国家なのだ」というほうを信じているのかもしれません。

しかしながら、イスラエルの歴史学者、シュロモー・サンド教授は、シオニズムの根拠とされている、聖書に書かれているユダヤ人の歴史は史実ではない、考古学的な痕跡がないと言っています。同教授は、ユダヤ人の離散はなく、むしろ、ハマスのほうが古代ユダヤ人の子孫であるかもしれないとも言っています。

そして、これを裏付けるような遺伝子研究の結果が、ナショナルジオグラフィックの記事にありました。
それは、聖書では古代イスラエル人に征服されたことになっているカナン人の遺骨のゲノム分析により、その遺伝子が、現代の中東に生きるアラブ人とユダヤ人に受け継がれているというものでした。つまり、カナン人が古代ユダヤ人であり、離散せず、その子孫がパレスチナに住み続けていた。別の土地のシオニストは古代ユダヤ人とは関係のない人たちの子孫かもしれないということです。

―――

いずれにせよ、イスラエルの攻撃で、毎日パレスチナの人たちが死に、傷つき、街が破壊されており、その惨劇を一刻も早く止めることがまずは必要だと、私は強く思っているわけです。

そして、ハマスによるテロは容認できませんが、そこに至るまでの経緯があることは、多くの人に知ってほしいと思います。

ナクバや入植地の拡大、パレスチナが天井のない監獄と言われる状況に対して、パレスチナの人たちが声を上げても、イスラエルは武力で支配し、国際社会も容認、むしろイスラエルに資金援助をしてきました。

国際社会には、今こそ適切な対応が求められています。
番組でも言っていましたが、暴力の連鎖を止めるには「外からの政治介入」が必要だと思います。
番組では、これまでのあり方を変えないと「イスラエルの存続を危うくする」「世界大戦を引き起こす恐れさえある」とも言っていました。

異文化コミュニケーションによる平和的解決への道、その方法論はありますが、まずは、イスラエルの攻撃を止めることだと思います。

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テレビドラマと真逆にあると感じた「PERFECT DAYS」 https://masakokawasaki.com/2024/02/n4489 Wed, 31 Jan 2024 19:51:21 +0000 https://masakokawasaki.com/?p=4489

映画館に「PERFECT DAYS」を見に行きました。

テレビドラマやハリウッド映画とは真逆の、ある意味淡々とした映画でした。

昔、私が中学生の頃、NHKで「中学生日記」という一話完結のドラマをやっていて、それを思い出しましたが、それよりも軽やかな感じがしました。

「中学生日記」は、何か投げかけては、結論も答えもなく、「えっ、終わり?」とあっけなく終わることが多々ありました。見ている中学生に「答え」を提示するのではなく、考えてもらおう、話し合ってもらおうという意図があったと思います。

「PERFECT DAYS」は、「人生とは?」というような答えのないテーマにおいて、主人公のあり方をひとつのサンプルとして、あなたなりの答え、あり方を自由に感じとってくださいという、押し付けのなさが、軽やかで心地よいと感じました。

テレビドラマやハリウッド映画は、これを伝えたいというメッセージが、繰り返され、見せ場があり、分かりやすいです。さらに、見る人は、すべての事情が分かっている「神」の目線で、登場人物を眺めています。

「PERFECT DAYS」には、そういう「強く分かりやすいメッセージ」や「神の目線」はなく、「穏やかさ」と「適度な距離感」があります。

主人公は、まわりの人と、もっといえば自分の人生とも「適度な距離感」を保つことで、穏やかに過ごしているように感じます。

そして、映画の観客といえども主人公の人生に踏み込みすぎないことで、不要なやきもき(なんで主人公はこうしないんだ。こうすればいいのに)を感じなくてすむのかもしれません。

その穏やかさは、この映画に出てくる街の樹木や主人公の家の植物、そして、主人公が眺める木漏れ日のようです。

植物は確かに生きているし、生長もしていますが、動物のようにアピールはせず、ただそこにいます。動物のように勝手にどこかに行ってしまうこともありません。

木漏れ日も、こちらが気づくと、そこで穏やかにキラキラしています。

たくさんの世界があり、つながっていない

そして、この映画で、「あっ、そうだな」と思ったのが、次の言葉です。
「この世界には、たくさんの世界がある。つながっているように見えても、つながっていない世界がある」

私は自分を、ある意味、異なる世界を比較的自由に動くトラベラーだと思ったことがあります。

この世界にはたくさんの世界がありますが、皆それぞれの世界で生きていて、その自分の世界を出ることはあまりないように感じます。行動範囲、交流範囲が、決して交わらず、お互いの世界の存在すら気づいていない人たちがいる、いや、むしろそのほうが多いと思うことがよくあります。
そんな異世界間を自分はこれまで移動しウォッチングしてきています。異世界の話を聞き、体験してみるのは、いろいろな気づきがあって面白いのです。

たとえば、「お嬢」は、お嬢の家族やお嬢の仲間とお嬢の世界で生きています。
基本的に、何かを買う店は決まっていて、あまたある他の店には決して行きません。いろいろな意味で、お嬢の世界から逸脱しません。「ローマの休日」のように異世界に興味をもち、そこを訪れることはほとんどありません。

この映画に出てくる主人公の妹は、鎌倉のお嬢のようです。
世田谷のお嬢、アメリカのオレンジカウンティのお嬢、ヨーロッパの名家のお嬢は、それぞれの世界で生きていて、その世界は狭いのです。

お嬢だけでなく、それぞれの人が生きている世界は、たくさんある世界のほんの一部なのですが、それぞれの人にとっては、それがほぼ全部なのです。

「PERFECT DAYS」の主人公は、鎌倉の坊ちゃんだったのに、その世界を出て、異世界で暮らしています。主人公の妹の世界とは、つながっていないのです。
主人公は、生きる世界を自分で選び、その場所で「今」を穏やかに過ごしているわけですが、妹からすると、そのあり方は理解できないものなのです。

いろいろな人が、それぞれのやり方で人生を送っているよね。
スポットライトに照らされる人だけがすごいのではなく、たくさんの人がこの世界を支えていて、それぞれにかけがえのない存在で、かけがえのない人生なのだと、まあそんなことを改めて感じるわけなのです。

(写真は、映画のパンフレットと家のサボテンです)

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今は「暴力不可時代」への過渡期なのか? https://masakokawasaki.com/2024/01/n4478 Sun, 28 Jan 2024 10:46:05 +0000 https://masakokawasaki.com/?p=4478

最近、企業・組織におけるハラスメント、暴力に加え、ガザ戦争をはじめとした世界の紛争、および紛争につながりそうなことについて、日々考えています。

企業・組織、学校、家庭など、市民レベルでの暴力、ハラスメントは、社会的には「不可」という捉え方になってきており、これまで一般人の世界とは異なるとされてきた芸能界などでも暴力は「不可」となりつつあります。

暴力は、恐怖と痛みで人を服従させる強い力を持ち、とくに上の立場の人(上司、先輩、先生、親など)が、下の立場の人(部下、後輩、生徒、子など)を思い通りに動かすために「指導」という名のもと行なわれてきました。

しかしながら、デメリットも多く(暴力を振るう人への信頼感が失われる、暴力を振るわれた側の意欲、自主性、自己肯定感、心の健康が失われる、暴力が連鎖し、犯罪につながる等)、「人権」という考え方にも反し、法整備も進み、社会的には「不可」というコンセンサス(合意)がとれてきました。

一方で、国際関係における暴力、すなわち武力行使においては「不可」というコンセンサスはとれていません。
国連憲章では、武力による威嚇または武力の行使は、自衛権の行使等以外では認められていないのですが(武力不行使原則、または武力行使禁止原則)、そのルールを徹底させるための仕組みには課題もあり、まだ不十分だと言えます。

ガザ戦争に関しては、昨年(2023年)12月に、南アフリカが国際裁判所(ICJ)に、イスラエルを「ジェノサイド(集団虐殺)」として、攻撃をやめるよう提訴しました。

国際裁判所から仮処分命令は出たけれど

そして、今年(2024年)、その審理が始まり、一昨日(1月26日)、仮処分命令(暫定措置)が出ました。

そもそも、ガザ戦争に関係なさそうな南アフリカがイスラエルを訴えた理由について書いておきます。
それは、かつてアパルトヘイト(人種隔離政策)で、人種差別を受け、土地を追われた黒人のサバイバーたちが、今や法律家となり、同じような状況のパレスチナを助けようと立ち上がったというのがあります。

南アフリカの黒人にしても、パレスチナの人にしても、あるとき、外からやってきた人(前者は白人、後者はシオニスト)に、故郷を追われ、差別され、人権が無視されているわけです。

領土の略奪は、世界史的には繰り返されてきていますが、いずれも20世紀、第2次世界大戦後の出来事であり、南アフリカの「アパルトヘイト」は廃止されたものの、パレスチナ問題は「人権の世紀」の21世紀に突入しても解決していません。

さて、ICJの仮処分命令は、イスラエルに対して、ジェノサイドを未然に防ぐためにあらゆる措置を講じるようにということでしたが、残念ながら、戦闘中止の命令は出ていません。
そして、イスラエルは、そもそもこれは「自衛権行使」であり「正義の戦い」なので、完全勝利まで戦闘は続けると言っています。

イスラエルの考え方

イスラエルがやっていることは、自衛というには、犠牲者数や女性と子どもがその7割など「暴走」しており、南アフリカが提訴したとおり「ジェノサイド」だと見えるのですが、イスラエル人にとっての「自衛」の捉え方は、他国の人たちとは違います。

日本に移り住んでいる、イスラエルの60代男性の記事(朝日新聞)を読むとよく分かります。
この男性は、20代のとき、日本に旅行に来て住むことになり、日本人と結婚し、仕事もしているのですが、イスラエルと日本の考え方の違いについて語っています。

記事によれば、イスラエルにいたときは「武力で国を守る。死にたくなければ、相手を殺すしかない」という考え方になっていたそうです。

イスラエルは、ユダヤ人が、ホロコーストを経験し、そのとき、どこの国も助けてくれなかったという苦い思いから、1948年に作った国です。自分たちの国が欲しいという悲願から作った国ですが、他国からすると、略奪者です。建国を祝福しない他国から攻められ、国や国民の存続を脅かされているため、政治家も国民も、何がなんでも国や自分たちを守りたく、あらゆる行動はそこに集約されます。

自ら武力で国を守る必要があるし、危険の芽は摘んでおくということになります。

「死にたくなければ、相手を殺すしかない」という考えから、過剰防衛になり、ある意味、加害者の発想になっているのかもしれません。

それに関して、ある記事が参考になります。
それは、ナチスに迫害されたユダヤ人の子孫で、ファシズムを研究する哲学者、ジェイソン・スタンリー氏の記事、「虐殺の『加害者側の論理』」です。

この記事では、アメリカ(先住民を虐殺、奴隷制を採用)、ドイツ(ユダヤ人を虐殺)、ロシア(ウクライナ戦争)のことが書かれています。

虐殺の加害者側の手法は下記です。

  • 特定の集団をやり玉に挙げ、強く否定する。
  • 誤った情報や説を流布し、標的に定めた集団が自分たちを脅かす、自分たちの身が危険にさらされると煽る。
  • 標的への敵愾心(敵に対して抱く憤り)を増幅させ、排除する意義を市民に信じ込ませる。
  • 他の集団を排除することで、自分たちの国民性や民族性を形作る。

この記事を読みながら、今やイスラエルにとってのハマスがその標的になっているのかもしれないと思いました。ハマスは実際に攻撃もしているので、単なる戦争プロパガンダを超え、完全勝利まで戦闘を続けなければ、自分たちが危ういと本当に思っているのでしょう。

このとき、敵は市民も含めて「人間ではない(人権はない)」ということになります。ですので、パレスチナの市民にどれだけ被害が出ようとも、むしろ、危険の芽を摘んでいるという発想になるのかもしれません。

市民レベルで、また、国際レベルで、暴力ではない方法について、さらに考えてみたいと思います。

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「怒って物に当たると逆効果」という論文を探してみた https://masakokawasaki.com/2024/01/n4465 Thu, 25 Jan 2024 19:15:53 +0000 https://masakokawasaki.com/?p=4465

私が所属している日本アンガーマネジメント協会の公式サイトには、「ブログ」のページがあり、毎週火曜日、木曜日に更新されています。

このブログは、2015年にアンガーマネジメントファシリテーターのチームによる定期更新がスタートし、私もそのときのチームメンバーだったのですが、その前は、協会本部による記事が更新されていました。

このブログページの人気記事のひとつに「怒って物に当たると逆効果」というのがあります。

この記事では、アメリカで発表された「怒って物に当たると逆効果」という論文が紹介されているのですが、引用元のサイトでは過去記事だからか、それらしい記事が見つかりません。

しかし、興味があるテーマなので、この論文を探してみました。

なかなか探し出せなかったのですが、ついにこれだろうというものを発見しました。

それは、オハイオ州立大学コミュニケーション学部のブラッド・J・ブッシュマン(Brad J. Bushman)教授の論文です。

この方は、人間の攻撃性と暴力の原因や解決策を研究し、200を超える論文を書かれていますが、そのタイトルを見ると、興味深いものが多いです。

これまで常識とされてきたことを覆す研究結果で「神話破壊者」とも呼ばれているようです。

これらの論文を読み込めば、戦争も含めたさまざまな紛争や、ハラスメントを含めた暴力を減らすヒントが見つかるかもしれません。

怒りの発散は炎を燃やすのか、消すのか?

さて、この「怒って物に当たると逆効果」の論文は、2002年のもので、タイトルは「怒りの発散は炎を燃やすのか、消すのか? カタルシス、反芻、気晴らし、怒りと攻撃的な対応(Does Venting Anger Feed or Extinguish the Flame? Catharsis, Rumination, Distraction, Anger, and Aggressive Responding)」というものです。

研究の概要は、下記です。

  • 600人の大学生(男性300人、女性300人)が参加し、皆にエッセイを書いてもらいます。
  • そのエッセイに対し、他の参加者の感想をフィードバックすると伝えますが、本当は誰もフィードバックしておらず、全員に腹立たしくなるような批判的な内容を返します。
  • その怒りに対して、参加者を次の3グループに分け、指示に従った行動をとってもらった後、攻撃性が減ったかなど、効果を調べます。
  1. エッセイを批判した人の写真がモニターに映し出され、パンチングボールをボクシングのグローブで叩き、怒りをぶつけるように指示(写真は偽物)
  2. アスリートが運動している写真がモニターに映し出され、健康を考えてパンチングボールを叩くように指示
  3. 座って静かにするように指示

その結果、1>2>3 の順に攻撃的でしたが、残念ながら、統計的に有意ではありませんでした。
「統計的に有意」というのは、誤差とは考えにくい、明確な差があるレベルです。ですので、この実験では、明確な差はなかったということです。

しかしながら、逆に「怒りを発散することで、怒りが解消され、攻撃性が減少する」という説(カタルシス理論)も実証されなかったと言えます。

この論文には、3の「静かにしておく」の次の段階として、仔犬をなでる、面白いテレビ番組を見る、クロスワードパズルをやるなどを試すと、より効果が出るかもしれないと書かれています。

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アンガーマネジメントでは、怒って物に当たると、怒りの感情が増幅され、行動が激化することが少なくないため、物に当たることはせず、理性を取り戻して冷静になることを勧めています。
また、怒りを減らそうとするよりも、喜び、楽しみを増やすことを勧めています。それからすると、仔犬をなでる、面白いテレビ番組を見る、クロスワードパズルをやるほうが、怒りを解消し、攻撃性を減少させる効果につながるはずです。

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昨年は「人権」「命」について考える年でした。今年も出来ることをやっていきたい https://masakokawasaki.com/2024/01/n4177 Wed, 03 Jan 2024 05:49:13 +0000 https://masakokawasaki.com/?p=4177

元旦に、Facebook、Instagram、Xにアップしたものをこちらにも載せておきます。

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旧年中は大変お世話になり、ありがとうございました。

昨年は、「アンガーマネジメント経営賞」、広島での「アンガーマネジメントと人権」というテーマでの講演、そしてガザ戦争を通して、「人権」について考えました。

とくにガザ(パレスチナ)に関しては、自分が中学生のときに初めて知って感じた理不尽、不条理が続いている、いや、悪化している。日本からの医療関係者の心が折れ、ジャーナリストや国際機関のスタッフも容赦ない目に遭うなかで、遠くにいる一市民の私たちに出来ることは? などと思いました。

そして、父がコロナになり、余命宣告されたりもして(コロナは治りましたが、衰弱して入院中)、自分も含めた命について考えました(自分はあくまでも120歳ぐらいまで元気に生きるつもりですが)。

何年か前、元気だった母が突然亡くなったときに、検視の医者に「お母さんはいろいろ心配されるほうでした?」と聞かれ、「最近はそうですね」と言ったら、「年をとってからは、あれこれ心配するのは命取り」と言われたので、なるべく能天気に過ごそうと思っています。

世界にとっても、自分にとっても、理不尽だと感じることは起きたりしますが、希望を失わず、出来ることをやっていこうと思います。

本年もよろしくお願いいたします。

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(追記)

相手がひどい目に遭わせた。だからやっつけるという発想

ジェノサイドに関して、イスラエルの人たちはどう思っているのだろうと思い、「ハアレツ」のオンライン(英語版)を購読して読んでいます。「ハアレツ」はイスラエルの新聞ですが、中道左派と言われ、パレスチナ側に立った記事もあります。

あくまでも私の感想ですが、イスラエルの多くの市民は、自分たちを守ることに精一杯のように思えます。

10月7日にひどい目に遭った、これまでずっと自分たちはガザの人たちに慈悲を与えて来たのにひどすぎるというニュアンスを感じます。

夫がイスラエル軍で亡くなったという女性は、自分や子どもたちの悲しみで精一杯。そこからガザの人たちの悲しみ、痛みにはまったくつながりません。
他の人も、世界に、自分たちを責める人たちがいるのが本当に分からない感じです。
自分たちが今手を緩めるとひどい目に遭う。だから、ひどい目に遭わせる人たちをやっつけているだけというロジックです。
自分たちは被害者であり、加害者だとはまったく思っていない感じがします。

イスラエルの市民が、直接手を下しているわけではなく、悲しみや痛みを感じている人もいるでしょうが、自分たちの支持する政府、国防軍がジェノサイドを行なっていることへの認識は皆無のように感じます。
「叩き活」「責め活」でも書いたとおり、攻撃的な行動は、自己防衛の気持ちが強く働くことから起こるため、政府、国防軍はむしろイスラエル国民を守る正しい行動だと、市民は支持しているのではないでしょうか?

デール・カーネギーの「人を動かす」に出てくる、凶悪な殺人鬼、クローレーの話を思い出します。

クローレーは、自分は「やさしい心」「だれひとり人を傷つけようとは思わぬ心」をもっているという手紙を残し、死刑になる際も「自分の身を守っただけのことで、こんな目にあわされるんだ」と言ったという話です。

相手がひどい目に遭わせた、だからやっつける。相手が悪で、自分たちが正しいというストーリーは、以前このブログで書いた、歴史学者、アンヌ・モレリの「戦争プロパガンダ10の法則」にも則っています。

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今年も「人権」について考え、出来ることをやっていきたい。とくに自分の専門である感情のマネジメントから、互いに尊重しあい、各人が力を発揮できる、平和で活力溢れる世界になるよう尽力したいと思います。

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