リーダーシップに関するセミナー第2弾

リーダーシップに関するセミナー第2弾に行きました。
第1弾は、ハーバード大学でリーダーシップ論を学んだ恒松潤一氏がスピーカーでした。(第1弾の記事を読む)。
第2弾のスピーカーは、恒松氏と同時期にハーバード大学医学部精神科に客員研究員として赴き、睡眠科学、認知科学を研究された西多昌規氏です。
西多昌規氏は、精神科医で、現在、東京医科歯科大学大学院 精神行動医科学分野で、うつ病と睡眠障害についての臨床研究をされています。

今回のテーマは、リーダーシップを発揮するうえで必要な脳科学の基礎知識ということで、幅広い内容でした。

<セミナーデータ>
タイトル:リーダーシップを強化する 脳科学、睡眠科学、そして精神医学
     (ハーバード・MIT発のリーダーシップ・サイエンス 第2回)
講師:西多昌規氏(精神科医/東京医科歯科大学大学院 精神行動医科学分野)
日時:2009年4月2日 (木) 19:15~20:45
場所:アカデミーヒルズ

<心の病の話>
第1弾のセミナーでは、「リーダーシップは危険」ということで、「平穏を妨げる者として引きずり下ろそうとする」力に対して、傷を負わず、また、ストレスに潰されないためにはどうすればいいのか、というお話がありましたが、大きな転換点にある現代、心の病になる人も少なくないといいます。

2005年段階で、うつ病、双極性障害(そううつ病)、適応障害などの精神障害で通院している人(外来)は267.5万人、入院している人は35.3万人、また、昨年(2008年)の自殺者数は3万2249人ということです。

ちなみに、適応障害は、ストレスが原因でおきる障害ですが、うつ病は、ストレスが原因でない場合もあるとのことです。また、うつ病には、これまでの「定型うつ病」と、新型の「非定型うつ病」があり、症状や対処法も異なるとのことでした。

<睡眠の話>
睡眠時間の短さランキングで日本は1位、7時間23分とのことでした。
そして、世界における睡眠不足と事故の事例がいくつか紹介されました。

睡眠にも個人差があるが、休日に平日より3時間以上寝ているようなら睡眠が不足している、蓄積した睡眠不足は「睡眠負債」になり、睡眠に黒字はない、寝貯めはできないとのことでした。
そして、昼寝は30分以内、浅い睡眠のまま起きることが大事とのことでした。

また、体内時計の周期は25時間で、ずれを調整するのは「光」。朝は光を浴びることで、夜は寝る1時間前には部屋を暗くして光を浴びないことで、ずれを調整できるとのことでした。

私は、昨年、仕事がかなり忙しくて、1日3時間の睡眠時間を確保できないことが多々ありました。私の実感として、平均3時間睡眠だとまだどうにかなるけれども、3時間を切ると厳しい、3時間がデッドラインだと感じました。現在は平均4時間半睡眠ですが、本当は6時間ぐらい確保できたらいいのかもしれません。

<脳の話>
人の脳は、進化の過程で複雑な社会に適応するために社会的知能を発達させていったという「社会脳(Social Brain)」という仮説があるそうです。
また、脳には、環境や経験によって構造や機能が変化していく「脳の可塑性」と呼ばれる力があるということです。
「可塑」とは、「思うように物の形をつくれること。塑造できること」という意味ですが、脳の一部が麻痺した患者が、残りの脳で麻痺した部分の機能をカバーするようになったり、脳を使い続けていれば、機能が高くなることがわかっている、いろいろな経験、刺激が、脳の可塑性を高め、シナプスを増加させる、睡眠中にも脳は強化されるとのことです。

逆に、睡眠不足だとパフォーマンスが低下し、脳の「扁桃体」が活性化し、ネガティブになったり、キレやすくなる。「扁桃体」は、感情に重要な役割を果たしているところで、情動反応を起こすといいます。

<ストレスマネジメント>
ストレス・コーピング(ストレス対処法)として、自分の思考の癖を知り、自分を客観的に見ることが大事だといいます。
思考の癖の例...「過度の一般化」「すべき思考」「All or Nothing思考」「自己関連付け」「選択的抽出」「破局視」「感情的論法」

そして、睡眠の確保、適度な運動といい食事が、やはり大切だということです。睡眠では、自分の睡眠習慣を知り、快眠を心がけること。快眠のためには、次のようなことをやったほうがいいとのことです。
「適温のお風呂」「適度な運動」「アルコールは睡眠を浅くするので、寝る前に飲まない」「生活騒音が意外にうるさいので、聞こえないように工夫する」「カーテンを開けておき、朝は光で起きるようにする」

<今後のリーダー>
医学部でのリーダー教育は、「ほめて育てる」「PNP(ポジティブ ネガティブ ポジティブ)」つまり、ネガティブなことを言う前後に、ポジティブなことを言う、「ちょっとの雑談が効果的」「同一化したいリーダー像を目指すようにする」こと。
脳の可塑性を高めるためには、異業種交流がおすすめで、違いを認めること、いらいらしないこと、心身の健康は最大の味方だと認識することだといいます。

リーダーシップは、結局は「人間力」であり、たとえば、行動を起こしている最中にその全体像をつかもうとすることが大切とのことです。

また、下記のようなアドバイスをいただきました。
 ・頑張り過ぎず、あきらめない
 ・陽気に、いらいらせず、他人の悪口を言わず、イベント好きで
 ・好奇心、ミーハー心を大切に
 ・自分のからだに、脳に問いかけて
 ・家族の理解はすべてに勝る

          ◆ ◆ ◆

脳は、「ドリル」「脳トレ」から「脳を活かす」「脳にいいこと」「のうだま」まで、相変わらずブームになっています。
頭、心、体の司令塔である脳の話は、単純に面白い、興味深いということもありますが、世の中が過渡期で、さまざまな価値観、考え方があり、何が正しいのか分からない、偽装事件も相次ぐなか、確かなものが求められている。そういったなかで、「じつはこうなんです」「こうしたほうがいいです」という科学的な指標があれば、安心するという側面もあるのかな、と感じます。

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このブログ記事について

このページは、川嵜昌子が2009年4月16日に書いたブログ記事です。

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