ローソン社長 新浪剛史氏のセミナー

「ローソン社長 新浪剛史氏が描く、イノベーション・フロンティア 」というセミナーに行きました。
案内文には、「2008年度第3四半期、連結営業利益が過去最高益をあげた『ローソン』。この経済状況のなかで、その『元気』の源はどこにあるのでしょうか。」とあります。ちなみに、ローソンの第3四半期(2008年3月1日~11月30日)の連結営業利益は433億2500万円で、前年同期比14.3%増となっています。

しかし、今、コンビニ(CVS)業界は、ローソンに限らず好調なはず。ということで、日本フランチャイズチェーン協会の「コンビニエンスストア統計調査年間集計(2008年1月から12月)」を確認したところ、売上高は、全店ベースは全月、既存店ベースは5月から12月まで前年同月比プラスとなっています。また、来店客数も、全店ベースは全月、既存店ベースは5月から12月まで前年同月比プラスとなっています。この理由は、おもに、taspoカード導入に伴う店頭でのたばこの対面販売が好調なためです。
さらに、3月23日に同協会から発表された2月度の「コンビニエンスストア調査月報」によれば、相変わらず店頭でのたばこの対面販売が好調で、店舗売上高は、全店は20カ月連続プラス、既存店は10カ月連続プラスとなっています。

さらに、セブン&アイ・ホールディングスの2009年2月期予想で、コンビニエンスストア事業に関して見ると、営業収益は2兆3130万円で前期比3.5%減ですが、営業利益は2130億円で前期比6.0%増となっています。

これに対して、ローソンの2009年2月期の連結業績予想は、営業総収入が3520億円で前期比16.9%増、営業利益は480億円で前期比3.0%増となっています(昨年10月修正数値)。そして、2月24日の日本経済新聞によると、ローソンの2009年2月期の連結営業利益は、この予想を10億円上回る490億円で前期比5.0%増になる見通しとのことです。

◆4月16日追記◆
4月13日に、2009年2月期決算資料(決算短信・補足資料)が発表されました。
営業総収入は3494.76億円で、前期比16%増、営業利益は491.86億円で、前期比5.5%増でした。
―――

ちなみに、営業総収入とは、通常の小売業の売上高にあたるものです。フランチャイズチェーンなので、自営店売上高に加えて、加盟店からのロイヤルティやエリアフランチャイザーからのフィーが入り、これらが合算されたものです。

さて、前置きが長くなりましたが、要は、今、コンビニ業界は、店頭でたばこを買う人が増えたため、非常に好調であるということです。けれども、ローソンでは、さらに先を見越してさまざまな形態の店舗を展開するなど、大きな転換を図っており、そのベースになっている考えやビジョン、取り組みを、社長の新浪剛史氏が語るというセミナーでした。

          ◆ ◆ ◆

<セミナーデータ>
タイトル:ローソン社長 新浪剛史氏が描く、イノベーション・フロンティア
講師:新浪剛史氏(株式会社ローソン 代表取締役社長 CEO)
日時:2009年03月30日 (月) 19:00~21:00
場所:アカデミーヒルズ

先ほど書いたように、今、コンビニ業界はたばこで好調ですが、新浪氏はセミナーで「タスポで脇が甘くなっている」と仰っていました。そして、「改善ではダメ。イノベーションが必要」という捉え方でした。

新浪社長は、過去CVS(コンビニエンスストア)に求められてきた価値は、 「時間」「距離」「接客・品揃え・クリンリネス」の3つであり、これらの価値を満たすことで、お客様のニーズに応えてきた。CVSの歴史30年強は、忙しいお客様をサポートするものであったと言います。

しかし、現在の外部環境は大きく変化している。1)少子高齢化によるコア客層の減少、2)所得、地域格差、3)経済環境の厳しさ→生活防衛に対応する必要がある。これまでの「時間の節約価値」から新しいモデルが必要とされていると見ています。

そして、こんなにお客様を取り巻く環境が大変化しているにも関わらず、去年のデータを見ていること、今までのやり方でデータを読んでいることが、今のCVSの問題点だと仰っています。
大変化を乗り越えるには、プロダクトアウトから、マーケットイン(お客さま視点)へ変えること、改善ではダメ、前例主義をやめて、イノベーションが必要とのことでした。そのステップは次のようなものです。

 Step1 大きな流れをつかむ(社会のニーズ)
 Step2 社会が我々に求めていることとのGAPを把握(イノベーションの必要性)
 Step3 GAPを埋める為の戦略立案と実行→イノベーションには試行錯誤による失敗は付き物、ゆえに、人事評価制度も大切

          ◆ ◆ ◆

そして、ブルーのローソン(レギュラー・ローソン)に軸足をおいて、他のものを2~3割やる。ずっと本流が本流ではないので、やがて本流になる亜流を育てておくという発想です。
いまやっているのは、次のようなものです。

・ナチュラルローソン 健康志向・女性嗜好にこだわった商品ブランドの開発→レギュラー・ローソンにもナチュラル・セレクションのような形でよい面を取り入れていく
・ローソンストア100 高齢者・主婦をターゲットに展開。新鮮な野菜や果物の適量小分け販売や「バリューライン」ブランドのオリジナル商品(340種類以上)を「価値ある100円で」販売。3500品目以上の商品を品揃え→九九プラスとの連携強化
・ローソンプラス 世帯人数の減少に対応し、毎日消費できる「適量・小分け」スタイルでの日配品
・子育てローソン(ハッピーローソン) 「子育て家族にうれしいローソン」をコンセプトに出店。カフェや、子供が遊べる、親が休憩できるスペースを設置。山下公園店は横浜市とのコラボレーション
・ホスピタルローソン 慶応義塾大学病院内に通常の半分の面積(15.7坪/通常35~40坪)で出店
・ポスタルローソン 郵便局内に設置。封筒、便箋、筆記具、グリーティングカードなどの郵便に関連した商品の充実や、郵便局での待ち時間が有効利用できる新サービス(CD試聴等)
・カレッジローソン キャンパスの景観に合わせたもの
・シニア向けローソン 淡路島で高齢者の使い勝手の良さを追求
・ゆのまちローソン 足湯を設置
・行政コラボローソン 福岡市役所の駐輪場だった場所に開店。駐輪場は新店舗の屋上に移動。店内には広報、地域のPRスペース等を設置
また、ローソンでは、「CO2オフセット運動」や「ケータイ運動(ケータイバッグとケータイお箸)」なども行なっています。

          ◆ ◆ ◆

さまざまな店舗を展開しているローソンですが、新浪社長は「(本体が)潰れなければ、たくさん失敗してもいい」「無駄だと思われるところに、ちょっとしたハンドルの遊びがある」「突飛なことでも、5年でリターンが上がればいい」と仰っています。

そして、「過去の文化は、カリスマ社長が一人で決め、社員は従う。逸脱しない。マニュアルの発想だった。面白い発想は、中途採用の人、過去の文化を知らない、社外から入った人から出てくることが多い」と言います。

また、新浪社長は「理念はまだ全然浸透していない。3割ぐらいしか実現していない」と見ています。
ちなみに、ローソンの企業理念は「私たちは"みんなと暮らすマチ"を幸せにします。」で、「ローソンは企業理念に基づいてイノベーションを行なっていきます」とのことでした。
さらに、新浪社長の夢は「ローソン ナンバーワン。社員の家族からそう言われたい」とのことでした。

個人的には、CVSといえば、以前は、量が多い印象がありました。いなり寿司も今では2個、3個で売っていますが、以前は6個ぐらい入っていましたし、助六寿司などは、いなり寿司と巻き寿司が大量に入っていて、お昼に一人でこれ(ご飯もの)だけ食べるのはどうか、この半分の"助三寿司"、3分の1の"助二寿司"を出してくれればなあ、と思っていました。最近では「小分け」の商品が増えてきています。けれども、まだまだ買いたい商品を置いていないと感じることも多いです。

さまざまな層から、さまざまな商品・サービスを求められているCVS、「新しいモデル」も期待したいと思います。

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このブログ記事について

このページは、川嵜昌子が2009年4月 5日に書いたブログ記事です。

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